二日酔い|頭痛や吐き気はどう対策する?お酒好き医師が語る二日酔いの治し方
監修
石金 正裕 医師
40代感染症専門医・医学博士
国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP)を経て2016年より国立国際医療センター勤務。一般感染症から輸入感染症や新興感染症まで日々奮闘中。新興感染症とAMR対策のWHO協力センターとしても活動中。掲載論文は約150本。
渡航歴約60カ国。夢は世界遺産制覇。
イントロダクション
楽しい飲み会の翌日に襲いかかる二日酔い。
軽い頭痛程度のこともあれば、水を飲んでも吐くような状態になることもありますよね。
飲み過ぎた自分が悪いとはいえ、二日酔いのときは辛くてたまりません。
そこで、今回はお酒が好きな医師3名に二日酔いの予防法や治し方を質問しました。
”医師が語る二日酔い対策”をぜひお楽しみください!
【参加医師の自己紹介】

あらた先生@呼吸器外科
大学病院に勤務する呼吸器外科医であり、医師11年目。主に肺がんの手術を担当している。学生時代は酒に強くない体質にもかかわらず、部活動の中で無理をして飲酒し、周囲に迷惑をかけた経験がある。現在は妻の出産を機に飲酒を控えているが、外来診療や健診結果説明の場面で「お酒との付き合い方」について質問を受けることが多く、本テーマへの関心は高い。

シトラス先生@感染症内科
九州の国立大学医学部を卒業し、医師歴15年の感染症内科専門医である。現在は市中病院に勤務している。座右の銘は「ノミュニケーション」であり、講演会と会食を繰り返す日常を送り、二日酔いとは長い付き合いである。

Dr.Y413先生@産科麻酔
総合病院に勤務する麻酔科医であり、医師歴13年、麻酔科歴11年である。産科麻酔(無痛分娩・帝王切開)および手術麻酔を担当している。0歳と5歳の子を育てながら勤務しており、最近は深酒こそしないが、日本酒やワインにより二日酔いを経験することが多かった。酒は好むが、節度ある飲酒を心がけている。
二日酔が起きるメカニズムとは?
——なぜ二日酔いになるのでしょうか?
まず、二日酔いの一番有名な原因は「アセトアルデヒド」の蓄積だと思います。お酒に含まれるエタノールは、肝臓でアセトアルデヒドという毒性物質に変化し、その後酢酸へと分解されて無害化されます。ただ、この途中にできるアセトアルデヒドが体に残ってしまうと、頭痛や吐き気、血管の拡張といった症状を引き起こします。
日本人の約4割は、このアセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2」の働きが弱い体質だといわれており、少量でも翌日に強い症状が出やすいのです。
それに加えて、アルコールには利尿作用があります。これは抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を抑制するためで、尿量が増えて水分と電解質(ナトリウムやカリウム)が失われやすくなります。結果として、脱水や電解質異常が起こりやすくなります。
もう一つ重要なのは、低血糖です。アルコールが肝臓で代謝されるとき、糖新生が抑制されるため、血糖値が下がることがあります。すると、めまいや吐き気、発汗、倦怠感、さらには意識障害を引き起こすこともあります。
最近の研究では、アルコール摂取によって炎症性サイトカイン(IL-6やTNF-αなど)が増加し、頭痛や倦怠感、微熱といった風邪のような症状を引き起こすとも言われています。飲みすぎた翌日に「熱っぽくて布団から出たくない」と感じるのは、まさに体が“戦っている状態”なのかもしれません[1]。
私も、アセトアルデヒドの蓄積と脱水が一番大きな原因だと思います。飲酒によって尿量が増えますし、脱水になりますよね。
——では、二日酔いの「頭痛」って何が原因なんでしょうか?
頭痛の原因の一つは、脱水で脳の周囲の硬膜が引っ張られるからだと言われています。いわば、低髄液圧症候群のような状態です。
それに加えて、アセトアルデヒドやエタノール自体にも脳の血管を拡張させる作用があり、それが拍動性の頭痛を引き起こす原因になります。また、IL-6やTNF-α、プロスタグランジンといった炎症物質の関与も考えられます。
そして、忘れてはいけないのが「睡眠の質の低下」です。アルコールを摂ると最初は眠くなりますが、睡眠後半の深い眠りが減って途中で目が覚めたり、翌朝の疲労感が強くなったりします。これも二日酔いの一因になりますね。
「二日酔が起きるメカニズムとは?」のまとめ
- 二日酔いはアセトアルデヒドの蓄積が主因:ALDH2活性が低い体質の人では、アセトアルデヒドの毒性によって頭痛・吐き気・倦怠感といった症状が強く出やすい。
- 脱水・電解質異常・低血糖が関与:アルコールの利尿作用により水分とミネラルが失われ、糖新生の抑制により低血糖も起こることで、症状を増悪させる。
- 炎症と睡眠の質の低下も重要因子:サイトカインの放出による炎症症状と、アルコールによる深い睡眠の減少が、翌朝のだるさ・頭痛につながる。
二日酔いが起きにくい飲み方とは?医師が語る二日酔いの予防法
——二日酔いを防ぐためにアルコールを飲む前や飲んでいる最中に、どのようなことを意識するとよいのでしょうか?
それぞれの原因に対応する形で対策を考えるのがよいと思います。私の場合、飲む前には肝代謝を助けるためにヘパリーゼを飲んでいます。また、飲酒中は異なる種類の酒を混ぜずに飲むようにしています。というのも、酒の種類ごとに含まれる不純物(コンジナー)が異なり、代謝に負担をかけるためです。
また、脱水と肝臓代謝の負担軽減のために、飲酒中はチェイサーとして水を一緒に飲むようにしています。さらに飲酒前には五苓散を服用すると、二日酔いだけでなく浮腫みの軽減にも有用です。
完璧な対策ですね!それ、毎回守れてますか?私は頭では理解していても、楽しくなると忘れてしまって……コンプライアンスが悪いんです(笑)。
私も事前にロキソニン(エビデンスは不明)を飲み、チェイサーを徹底、チャンポンを避けるようにしています。あと、「今日は酔わない」と決める“パッション”も大事にしてます。逆に酔ってもいい日はそのまま楽しみますね。
もちろん、毎回は無理です(笑)。酔ってくると水を飲むのも忘れがちですし、気づくとチャンポンしてしまっています。
ただ、飲酒中の緊張感が、予後に影響するという実感もあります。ペースに影響するのかもしれませんが、エビデンスとしては明らかではありません。
最終的には「気の持ちよう」と思ってしまうのが、昭和世代ですね(笑)。
私の経験上、シャンパン→ビール→赤ワイン→白ワイン→ハイボールの流れで確実に記憶を失います。逆にハイボール縛りなら生還率が高いですね。
肝臓水解物やイノシトール、ビタミンB/C、ウコン(クルクミン)、五苓散などについてのデータはあるものの、明確なヒト対象のエビデンスは少ない印象です。チャンポンに関しても同様です。ラットでの実験はありますが、人間対象の良質な研究が不足しています。
また、L-システインは二日酔いに関するデータが少しあるようです。米国製のサプリメントや日本の第3類医薬品として市販されており、一定の効果が示唆されています[2][3]。
NSAIDsの事前内服に一定の有用性があるとの報告もありますが、胃粘膜障害のリスクを考慮すると、一般的に推奨はしづらいですね[4]。
エビデンス的にどうなんでしょう?自分が飲んでるサプリに期待したいところですが……。
その写真のサプリに含まれる成分を見る限り、イノシトールやビタミン類、肝臓水解物の効果については明確なエビデンスは確認できませんでした。ただ、試験がほとんどないため、「効かない」とまではいえないと思います。
——あらた先生は飲む前に何か服用されていますか?L-システインなどですか?
私はウコンやヘパリーゼ、成分が豊富に含まれているものを選ぶようにしています。ただ、効いていたのが成分か、糖分か、水分かは不明です。気持ちの問題も大きいかもしれませんね。
やっぱりヘパリーゼが良いのかなぁ……。
L-システインは実はまだ試していません。先生、ぜひ人柱になってください(笑)。
個々の成分より、複数の掛け合わせが重要なこともあるかと思います。単独では効果が見られなくても、組み合わせにより酵素活性が高まる例もあります。漢方的な視点ですね。
「二日酔いが起きにくい飲み方とは?医師が語る二日酔いの予防法」のまとめ
- 飲酒前の対策としてのサプリ・漢方の活用:ヘパリーゼ、ウコン、五苓散、L-システインなどの摂取が実践されており、肝機能補助や水分代謝の促進を目的とした使用が中心。科学的エビデンスには限界があるが
- 飲酒中の行動による影響:チャンポン(異なる種類の酒を混ぜる)を避け、チェイサー(水)を併用することが重要との意見が一致。脱水や肝臓への負担を軽減する目的で意識的な水分摂取が推奨されている。
- 「酔わない意識」や心構えの重要性:「今日は酔わない」という心持ちや飲酒時のペース配分など、気持ちのあり方が結果に影響するという実感が共有された。科学的根拠は乏しいが、飲酒の質に影響する心理的要因として注目された。
とにかく辛い!二日酔いになってしまったときのレスキュー方法
——二日酔いになったときの回復方法を教えてください!
さまざまな予防策について話してきましたが、実際に全てを実践するのはなかなか難しいですよね。
私はよく水を飲みますね。OS-1のような経口補水液がベストですが、実際にはポカリスエットやお茶などで代用することが多いです。
Mackusらの2024年のレビュー[5]によれば、飲酒による利尿、発汗、嘔吐などで生じる脱水は血液粘度を高め、脳への酸素供給を低下させ、頭痛や倦怠感を悪化させるとのことです。
したがって、飲酒中や直後にこまめに水分を摂ることは適切だと述べられています。
ただし、脱水による症状の改善には寄与しますが、アセトアルデヒドの毒性や炎症反応、睡眠障害など、他の要因による二日酔いに対しては効果は限定的とのことです。
私も基本的にはとにかく水分を摂ります。それに加えて、頭痛対策としてアセトアミノフェンやロキソニンを使いますし、吐き気があればプリンペランやナウゼリンを処方します。
なかなか一般の方が真似しにくいですが、細胞外液の点滴は有効ですね。
点滴……。外来で同僚が対応しているのを見かけることもあります。
チェイサーの水や、お会計時にお冷が出てくるのは、実は理にかなっているのかもしれませんね。
自分もロキソニンと水ですね。体内のアルコールを薄めている感覚です。
会計時にお水…確かに言われてみれば、出てくることありますね。
アルコールを薄めるのはシンプルだけど重要ですね。
会計時にお茶かお水が出てくるのは、もしかしたら誰かの優しさかもしれません。
よいことを思いつきました!
忘れそうになるので、最初にお酒を頼むときに「水も一緒にお願いします」と言っておこうかなと。
それは最高のアイデアですね。
ちなみに、患者さんに「二日酔いでつらいときどうしたらいいですか?」と聞かれたら、どう答えますか?
まずは「飲み過ぎないように」「チャンポンは避けるように」「水も一緒に飲むように」と予防策を伝えますね。
実際に二日酔いで来院された方はいませんが、もし来られたら輸液で対応すると思います。16ゲージで(笑)
16ゲージ…それはだいぶ太い針ですね(笑)
根本的なところで、そもそも飲みすぎないというのは確かに大事です。
Dr.Y413先生は、一般の方にアドバイスするとしたらどのように伝えますか?
私も基本的にはシトラス先生と同じです。
まずは体調に合わせた適量を守ること、気分によっても適量が変わることを説明します。
そのうえで、飲む前にはヘパリーゼや漢方を使い、飲みながらはペースを守ってしっかり水を摂取することを勧めます。
「とにかく辛い!二日酔いになってしまったときのレスキュー方法」のまとめ
- 脱水対策としての水分補給は脱水による症状(頭痛・倦怠感)の改善には水分補給が効果的
- 水分補給は二日酔いの主因であるアセトアルデヒドや炎症反応、睡眠障害には直接的な効果は薄い[5]
- 頭痛にはアセトアミノフェンやロキソニン、吐き気にはプリンペランやナウゼリンを使用
- 必要に応じて外来での細胞外液点滴も有効とされるが、一般の人が自宅で行うのは現実的ではない
- 最も重要なのは「適量を守る」「水を一緒に飲む」「チャンポンを避ける」などの意識づけが必要
お酒と上手に付き合うマインドセット
——長い人生、お酒とどう付き合っていくのがよいか。マインドセットについて、率直なご意見を伺えればと思います。
大切なのは、自分に合う飲み方を見つけることですね。やけ酒のような飲み方は避けた方がいいですよね。人と飲むのか一人がいいのか、量や時間を決めておくのも効果的です。昔はたくさん飲むのが正義のように感じていましたが、今は気分良く楽しめる範囲で十分。何かを忘れるための飲酒はおすすめできません。
「自分なりの飲み方を見つける」という点に共感します。飲まないとノリが悪いと思われるのも悩みどころですが、勧められた時はどう対処されていますか?
親しい相手には「酔ってきたので……。酒癖悪いんですよ」などと軽く伝えます。今は無理に付き合う必要のない時代になったと感じます。
コロナ以降、飲み会の文化も縮小してきましたし、「スマドリ」などの言葉も定着しつつありますね。私も以前は無理して飲んでいましたが、弱かったことに最近気づきました。
シトラス先生は飲酒を控えていた時期もあったと伺いましたが、今はどのようなお考えですか?
「酒は飲んでも飲まれるな」が基本ですね。会食では飲むようにしていますが、話しにくい話題がある時にお酒の力を借りることもあります。
最近は飲酒の健康リスクが注目され、タバコと比較されることも増えました。今後、お酒も社会的に制限されていくかもしれません。
飲んだ翌朝に「もうやめよう」と思っても、また飲んでしまう。それが人間ですよね(笑)。
昔はタバコも普通に吸えたのに、今はかなり規制されています。お酒も「特別な時に嗜むもの」へと変化する可能性はありそうです。
甘くて強いお酒が手軽に買えるのも問題で、精神科の先生方も警鐘を鳴らしています。大切なのは、自分の体調や気分を見極めて、その日のコンディションに合わせて無理なく楽しむこと。二日酔い予防として、自分のサインを見逃さないことが何よりだと感じます。とはいえ、飲んで後悔→もうやめよう→また飲む…のループ、私もあります(笑)。
「お酒と上手に付き合うマインドセット」のまとめ
- 飲酒のタイミング・量・環境は人それぞれなので、気分や体調に応じて無理のない範囲で楽しむことが、健康的な飲酒習慣の基本
- 飲酒を断ることが受け入れられるようになってきた今、自分のスタイルを尊重する姿勢が求められている
- 健康リスクへの認識の高まりや、タバコのように制限される可能性も視野に入り始めている中、飲酒は「特別な場で楽しむもの」へと移行しつつある。
座談会まとめ
二日酔いの原因は多因子性で、主因はアセトアルデヒドと脱水:
体質によるアセトアルデヒド分解能の違い、アルコールによる利尿作用で生じる脱水・電解質異常、低血糖、炎症反応、睡眠の質の低下などが複合的に関与する。特に日本人の約4割はALDH2の活性が低く、少量でも症状が強く出やすい。
予防と対策には水分補給・サプリ・マインドセットが有効:
五苓散・ヘパリーゼ・L-システインなどのサプリ使用、水分の同時摂取(チェイサー)、酒の種類を混ぜない、飲む前の意識づけ(「酔わない」と決める)などが推奨される。エビデンスは限定的ながら、個人の経験に基づく実践が重視されている。
「自分に合った飲み方を知る」ことが最も重要なマインドセット:
飲酒習慣は個人差が大きく、「無理せず楽しむ」「自分の限界を知る」ことが健康的な付き合い方。時代の変化とともに「飲まない選択」や「スマドリ」が浸透しており、飲酒に対する社会的意識も変化しつつある。
AIMEDではこのように、皆様から寄せられた質問を医師による座談会で検討いたします。病院では聞きにくいこと、気になっていることがありましたら、お気軽にご質問ください!
【参考文献】
1.『Immune Responses after Heavy Alcohol Consumption: Cytokine Concentrations in Hangover-Sensitive and Hangover-Resistant Drinkers』(Healthcare)
2.『L-cysteine and the Treatment of Alcohol Hangover: A Commentary on Eriksson et al. 2020』(Alcohol and Alcoholism)
3.『肌の代謝とL-システイン』(ハイチオール公式サイト)
4. 『The Use of NSAIDs for Alcohol Hangover: A Review of the Literature』(Addictive Biology)
5.『Alcohol hangover: Mechanisms, treatment and future directions』(Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care)
6.『Effects of L-cysteine on alcohol metabolism and hangover symptoms』(Journal of Functional Foods)
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