肝斑はどうしたら消える?治療法の選択肢と選び方、肝斑との付き合い方
監修
橋本 可奈子 医師
2019年熊本大学医学部医学科卒業。
2年初期研修後、慶應大学皮膚科学教室に入局。
日本皮膚科学会皮膚科専門医。
イントロダクション
「肝斑はどうやったら消えるの?」
「シミと肝斑の違いがわからない」
「シミ取りをしても肝斑に影響はない?」
今回のAIMED座談会では、女性読者さんから寄せられた肝斑に関するお悩みを、医師3名で検討します。
肝斑でお悩みの方は必見のリアルな肝斑診療と治療、セルフケアのお話です。
【参加医師の自己紹介】

Drチルチル先生@小児科
2021年医師免許取得。普段は小児科医として勤務しながら、美容皮膚科にも週2日程度従事している。肝斑症例は多く経験しているが診断には慎重であり、本座談会を通じて理解を深めたいと考えている。

Melon先生@消化器外科
消化器外科医として卒後20年以上。抗加齢医学会専門医。自身は治療を受ける側の立場であり、シミや肝斑の鑑別は専門外。一般の患者視点も踏まえた意見を共有する。

たまこ先生@皮膚科
1999年に医師免許取得した皮膚科専門医。保険診療に加え、美容皮膚科にも従事。日常診療で肝斑を扱っているが、診断や治療を改めてアップデートおよび整理したいと考え参加。
肝斑とは?シミとの違いは?
——肝斑とシミの違いを教えてください。
肝斑って非皮膚科医から見ると、ほかの色素沈着と区別がつきにくい印象があります。自分で判断するのは難しいので、皮膚科でしっかり診てもらいたいですね。レーザーもやればいいというものではなさそうですし。
隠れ肝斑もありますから、余計に判断が難しいですよね。
実際、よほど典型例でないと肝斑の診断に迷うことは多いです。クリニックでは「肝斑と他のシミが混在している可能性がある」と説明されることも多いのではないかと思います。
典型例は、頬のあたりに左右対称で、普通のシミと比較して境界がぼんやりした褐色斑が広がっているような所見ですね。
やはり専門的に見ないと難しい領域なんですね。
自分の中では、肝斑は30〜50代くらいの女性で、左右対称に頬にモヤっとした赤みが出る、というイメージがあります。シミとの違いとしては、左右対称かどうかや、輪郭がくっきりしているかどうかを見ています。
左右対称なんですね。肝斑の病因は何ですか?あるいは、その色は何からきているのでしょうか。
最大の原因は女性ホルモンの乱れといわれています。妊娠中や更年期など、ホルモンバランスが変化するタイミングで増悪しやすいです。
色に関しては、表皮の基底層付近に過剰に蓄積したメラニンによるものです。普通のシミと違うのは、メラノサイトの数が増えているわけではなく、一つ一つの細胞の活性が高くなっている点ですね。そのため、モヤっと広がるような見え方になります。
実際の診療では、よほど典型的でない限り、シミとの見分けは難しいと感じています。私の場合ですが、対称性、部位、輪郭、発症年齢など総合的に肝斑の可能性を判断しています。
面積は広いのですか。それともあまり関係ないのでしょうか。
シミと比べると、肝斑のほうが面積は広めなことが多い印象です。
自分自身も自信を持って肝斑と言い切れるケースは多くないのですが、たまこ先生は典型的でない場合、患者さんにはどのように説明されていますか。
肝斑と普通のシミ(老人性色素斑)が混在することが多いので、「肝斑も混ざっている可能性がある」という前提で説明することが多いです。
その上で、内服治療は併用したほうがよいこと、積極的に治療する場合は肝斑部が一時的に濃くなる可能性があること、安全に進める場合はまず内服と擦過刺激の回避を行ってからレーザーを検討する、といった形で選択肢を提示しています。
美容施術を行う前に、そういったリスクや可能性をしっかり説明しておくことは大切ですよね。
ちなみに、隠れ肝斑にレーザーを当てると、顕在化してしまうということがあるという認識でよいでしょうか。
そのように説明しています。トラブルを避けるためにも、その可能性は事前に伝えるようにしています。
「肝斑とは?シミとの違いは?」のまとめ
- 肝斑は左右対称・輪郭不明瞭・広範囲という特徴を持つ
- メラノサイト数ではなく活性亢進によるメラニン増加が本態
- 鑑別は難しく、「混在前提」でリスク説明と治療選択肢提示が重要
医師ならこれを選ぶ!肝斑の治療法
——肝斑を病院で治療する場合、どのような治療法があるのでしょうか?
肝斑の治療には大きく分けて内服・外用と施術の2つがあると思います。内服はトラネキサム酸が最も王道で、ビタミンCやビタミンEもあります。施術ではレーザートーニング、ピーリング、エレクトロポレーションなどがあると思っています。
自分としてはこれらを組み合わせることが多く、特にトラネキサム酸とレーザートーニングを最初に勧めることが多いです。皆さんはどうされていますか。
ファーストチョイスはトラネキサム酸内服とハイドロキノン外用ですね。余裕があればビタミンCやビタミンE(ユベラ)を追加します。外用も併用できる方であればハイドロキノンとトレチノインの併用も考えます。
レーザーに関しては、ある程度内服と外用で薄くなってから、どうしても希望があればトーニングを検討するくらいで、「一時的に濃くなってもいいならやってもいい」というスタンスです。
トラネキサム酸やビタミンC、ビタミンEはどのくらいの期間内服するものなのでしょうか。
ビタミンCとEについては明確な推奨期間はありませんが、体感としては著効する方であれば1ヶ月程度で改善しはじめることもあり、多くは3〜6ヶ月程度内服してもらっています。
トラネキサム酸については休薬を指示するクリニックもありますが、明確な基準はありません。市販薬の臨床試験で8週間内服・8週間休薬というデータがあるため、それに準じている場合も多いと思います。用量としては500mg/dayで処方することが多いです。1000mg/dayと比較して効果が変わらなかったとする研究データを参考にしています。
——休薬した後はまた服用するのでしょうか?
休薬については、3ヶ月ほど内服して満足した場合は中止してもらうこともありますし、継続希望の場合は飛行機や新幹線など長時間同一姿勢になるタイミングで一時的に休薬するよう指導することもあります。ただ実際には勤務先のルールに合わせている部分も大きいです。
ハイドロキノンの休薬期間についてはどうでしょうか。代替として使えるものはありますか。
ハイドロキノンは4%濃度で安全性が確認されていますが、これは8週間程度までのデータだったと思います。そのため2ヶ月使用したら休薬するクリニックも多いです。
私は肝斑治療としては3ヶ月程度使用してもらうことが多いです。休薬の理由は白斑や色素異常などの副作用リスク軽減ですね。
代替としてはトラネキサム酸、コウジ酸、ナイアシンアミド、最近ではシステアミンなどが挙げられますが、コウジ酸やナイアシンアミドはハイドロキノンに比べると効果は劣る印象です。
メラノサイト抑制効果のイメージとしては以下の順番で認識しています。
①トラネキサム酸内服
②ハイドロキノン外用
③トラネキサム酸外用
④ビタミンC・E内服
とてもわかりやすいですね。トラネキサム酸はピル内服中の方では血栓リスクが上がるので注意が必要ですね。長期間内服している方も見かけます。
内服や外用以外の施術についてはどうされていますか。
正直なところ、クリニックにあるデバイスによって選択することが多いです。(置いてある機器が異なるため)ただ、IPLやQスイッチルビーなどは避けています。
シルファームXのような高周波機器があれば使いたいですが、実際には置いていないことが多いので、内服とハイドロキノン等の外用で改善しなければ、濃くなるリスクを覚悟しつつピコトーニングくらいしか選択肢がないことも多いです。ただトーニングでも濃くなった症例を経験しているので、デバイス系の治療はすべて慎重に行うようにしています。
ピコトーニングは回数を重ねることで改善する方が多い印象ですが、ほとんどの方が内服併用しているため、どちらが効いているかは判断が難しいと感じています。
「医師ならこれを選ぶ!肝斑の治療法」のまとめ
- 治療の基本はトラネキサム酸内服+ハイドロキノン外用
- 内服・外用・施術の併用が基本だが、施術は慎重適応
- 用量・期間・休薬は施設差があり、実臨床では個別対応
肝斑に良くない行動とは
——肝斑が悪化するNG行動はありますか?
摩擦が良くないと聞いたことがあります。
そのとおりで、顔を擦ることや刺激の強いスキンケアは肝斑を悪化させます。またピコスポットなど一部のレーザー治療も悪化要因になると言われています。
紫外線も肝斑が悪化する大きな大きな要因ですね。
マスクの摩擦も影響しますか。
影響します。特に医療従事者など長時間着用する場合は悪化しやすいです。擦れにくい形状やサイズを選ぶことが現実的な対策です。
——シミ取りのレーザーなどで肝斑が悪化することはありますか?
実際にレーザーで悪化した症例は経験があります。トーニングでも濃くなったケースもありましたし、肝斑と気づかず照射して大きく悪化した例もあります。
トーニングでも悪化するのは注意が必要ですね。
ピコスポットとピコトーニングは何が違うのでしょうか。
エネルギー量が大きく異なります。デバイスにもよりますが、ジュール数で10倍程度違うこともあります。
また、炎症による基底膜障害がメラノサイトを刺激して肝斑を形成するという考え方もあり、刺激を加える治療には慎重になります。
ピーリングが有効という話もありましたが、それは浅い層の問題ということでしょうか。
肝斑は表皮基底層のメラニンが主体なので、浅い深いの定義が難しいですが、比較的浅いほうということになりますかね。
「肝斑に良くない行動とは」のまとめ
- 摩擦・紫外線・刺激の強い治療が主な悪化要因
- レーザー治療でも悪化する症例が実際に存在する
- 炎症による基底膜障害が病態に関与する可能性
肝斑ケアにおすすめの化粧品・スキンケア
——肝斑ケアにおすすめの化粧品やスキンケアアイテムを教えてください。
トラネキサム酸、ハイドロキノン、コウジ酸などの有効成分を含む製品がよいのでしょうか。
コウジ酸は効果が弱めなので、ハイドロキノンの休薬期間の代替として使う程度がよいと思います。最近ではチアミドールやシステアミンがハイドロキノンを上回る効果を示すRCTもありますが、自分はまだ使用経験が少ないです。
トラネキサム酸は外用でも効果があるのですね。
トラネキサム酸は5%程度で効果があるとされています。エレクトロポレーションで導入するとより確実に浸透します。
一般の化粧品では有効成分の濃度が分かりにくい印象があります。
濃度が記載されていないことが多いですね。医療機関専売品では明記されていることが多いです。
エレクトロポレーションも継続しないと効果が限定的で、コストや時間がかかる点は課題ですね。
肝斑は再発率が100%とする報告もあり、結局はどれだけメンテナンスにコストをかけるかという側面が大きいです。
エンドレスの治療ということですね。
そうですね。シミも含めて数年で再発することが多いので、長期的に付き合う疾患だと思います。
「肝斑ケアにおすすめの化粧品・スキンケア」のまとめ
- 有効成分はトラネキサム酸・ハイドロキノンが中心
- 外用単独より導入治療で効果向上が期待される
- 再発率が高く、長期的なメンテナンスが前提となる
座談会まとめ
今回の座談会では肝斑の治療法やセルフケア方法などをじっくり掘り下げました。
肝斑はメンテナンスをし続けなければならないということなので、予算や手間に見合った方法を選びたいですね!座談会のまとめはこちらです。
診断は単純ではない:肝斑はシミと見分けがつきにくく、左右対称や輪郭のぼやけなどを参考にしつつ、年齢・経過・治療反応を含めた総合的な判断が必要となる:
まずは内服と外用:治療の基本はトラネキサム酸内服とハイドロキノン外用であり、いきなり施術に頼るのではなく段階的に進めることが重要
刺激は基本的にNG:摩擦や強いレーザーは悪化要因となるため、スキンケアや日常生活での刺激回避が治療と同じくらい重要となる
長期戦として向き合う:肝斑は再発しやすく、完全に終わる治療ではないため、無理のない範囲で継続的にメンテナンスする視点が必要
AIMEDは、このような「気になるけど病院で医師に聞きにくい」「本当のところが知りたい!」という皆様の質問にお答えするメディアです。【医師に調査をリクエスト】から、ご質問をいただきましたら、本記事のように医師が座談会を開催して、皆様のご質問を検討いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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