ゴルゴ線が気になる!どうすればいいの!治療法と予防法を医師が徹底討論
監修
江口 瑠衣子 医師
2009年長崎大学医学部卒業
大学病院での初期臨床研修終了後、10年以上にわたり地域の基幹病院で腎臓内科の診療に従事
患者さん一人ひとりに寄り添った医療を心がけており、現在は内科・精神科の診療を行っている
腎臓専門医・総合内科専門医
イントロダクション
今回寄せられた質問は「ゴルゴ線が気になるけどどうすればよい?」「ゴルゴ線の予防法は?」です。
年を重ねると、お顔は少しずつ変化していきます。客観的には気にならない変化でもご本人にとっては由々しき問題であることも珍しくありません。
今回のテーマはゴルゴ線です。ゴルゴ線が気になる医師、ゴルゴ線ケアに関わる医師による座談会を実施し、ゴルゴ線とは?ゴルゴ線ケアはどうすれば?という疑問に向き合いました。ゴルゴ線が気になる方は必見です!
参加医の自己紹介

しまりす先生@腎臓内科
2009年医師免許取得。現在は非常勤勤務の内科医。自身の顔に現れたゴルゴ線に関心を持つ。

Drチルチル先生@小児科
2021年医師免許取得。小児科勤務に加え、美容皮膚科でも週1〜2日勤務。美容皮膚科でゴルゴ線に関する相談を多く受けており、臨床経験を踏まえて発言。

らいおん先生@研究者・自由診療
2019年医師免許取得。企業顧問や研究活動を行いつつ、美容皮膚科で自由診療も経験。ゴルゴ線を含めた顔のしわ治療に数多く携わっている。
そもそも「ゴルゴ線」とは?顔に現れるさまざまなシワの種類
——そもそもゴルゴ線って具体的にどこのシワをさすのでしょうか?
いわゆるゴルゴ線は正式には「ミッドチークライン」と呼ばれ、目頭から頬にかけて斜めに走る溝を指します。この呼び方は、漫画「ゴルゴ13」の主人公に由来しています。実際に臨床現場でも「ゴルゴ線」という呼称が使われているのでしょうか?また、代表的なしわには、ほうれい線やマリオネットラインがあります。ほかにも顔や首のしわがあれば教えてください。
加えて「バニーライン」もよく知られています。笑ったとき鼻の両側に現れる小じわで、鼻筋や小鼻筋の動きによって生じます。厳密な医学的用語ではありませんが、美容皮膚科領域では一般的に使用されています。首やデコルテのネックラインもしわとしてよく相談されます。
しわは「静的しわ」と「動的しわ」に大きく分けられるようです。静的しわは無表情でも存在する深いしわで、ほうれい線やゴルゴ線、マリオネットラインが代表例です。動的しわは表情筋の動きによってできるもので、額や眉間、目尻のしわ、バニーラインなどです。動的しわが進行すると静的しわに移行することもあるといいます。
ところで、ほうれい線は誰にでもありますが、ゴルゴ線やマリオネットラインは、出る人と出ない人がいると知りました。臨床的に「出にくい人」もいらっしゃるのでしょうか?
肌の水分量やハリがある人は出にくいです。一方で急激な体重の減量はしわを助長します。最近「オゼンピック顔」という言葉が広がっていますが、急に痩せると皮膚が収縮に追いつかず、しわが深くなりやすいのです。1か月に1〜2kg以内の減量が望ましいです。
オゼンピック顔は確かに最近言われていますね。オゼンピックのほかに、マンジャロも使用されていますが、これらはいわゆる「痩せる注射」ですね。
そうですね。しわの原因はコラーゲンやエラスチンの減少、脂肪の下垂や減少、骨量減少です。痩せ型や骨張った人は目立ちやすく、逆にふっくらしている人は出にくい傾向があります。
私も年齢を重ねて肌のハリが落ちました。そんななか、自分の顔にあるゴルゴ線に気づきました。急激に痩せるとよくないということもよくわかりました。
さらに、そのほかの顔のしわには、スモーカーズライン(口周囲の縦じわ)、梅干しじわ(顎の凹凸)、ちりめんじわ(目の下の細かいしわ)などもあります。
顔のしわと一口に言っても、たくさんのしわが存在しますね。
「そもそも「ゴルゴ線」とは?顔に現れるさまざまなシワの種類」のまとめ
- ゴルゴ線は正式には「ミッドチークライン」と呼ばれる。ほうれい線・マリオネットラインなどと並んで、多くの人が気にする代表的な顔のしわの一つである。
- しわは静的しわと動的しわに分けられ、治療方針が異なる。静的しわは多様な治療アプローチがあり、動的しわはボトックスで治療しやすい。
- しわの出やすさは肌のハリ、急激な減量、体格などに左右される。近年では、オゼンピック顔という言葉もでてきている。自由診療で使用される、いわゆる「痩せる注射」によって急激に減量した人に特有の顔貌を指す。
一度できたら消えないの?ゴルゴ線形成メカニズム
——ゴルゴ線や一般的なシワはどのようなメカニズムで形成されるのですか?
しわは、真皮のコラーゲンやエラスチンが減少し、皮下脂肪や筋肉の変化が加わることで形成されます。さらに表情の動きや紫外線、加齢による皮膚再生力の低下が重なって折れ目が定着し、線として残ります。一度深く刻まれると自然に消すのは難しく、進行を遅らせたり軽減したりするケアが中心になります。
複合的な要因の積み重ねでしわができるのですね。コラーゲンやエラスチンが減少し、支えが弱まり、そこに紫外線や表情の動きが加わって折れ目が定着する。とてもわかりやすいです。ゴルゴ線も同じようなメカニズムでしょうか?
内因性要因は線維芽細胞機能低下やTGF-β/Smadシグナル低下によるコラーゲン合成減少があります。外因性要因は紫外線によるROS増加からMAPK経路を介したAP-1活性化、MMP上昇によってコラーゲン分解が進み、合成も抑制されます。力学的要因としては表情筋の反復収縮、睡眠時の圧力、皮膚張力の異方性などによる折れ目の固定化もあります。
まとめると、しわの成因は大きく3つに分類できますね。
1.内側から弱る要因(加齢による線維芽細胞の機能低下やコラーゲン合成力低下)
2.外側から壊す要因(紫外線によるコラーゲン分解)
3.折れ目の定着(表情筋の収縮や圧力で紙の折り目のように刻まれる)
この3要素の組み合わせでゴルゴ線を含むしわは、深く消えにくくなると考えられます。
さらに調べたところ、目の下から頬にかけての溝や凹みができるメカニズムに関して、次の4つの要因が報告されていました(参考1)。
1.皮膚や皮下脂肪の萎縮、頬骨の骨吸収
2.支持靭帯構造によるテザーリング(ひきつり)
3.表情筋の収縮
4.眼窩脂肪の突出
また、ゴルゴ線(論文内ではミッドチークグルーヴという記載)の形成は、解剖学的に眼輪筋の内側バンドと真皮の間にある線維弾性束の走行が関与するという報告もあります(参考2)。
これらのことから、やはりしわは一度形成されると、「自然には消えにくい」と言えそうです。臨床の現場で、患者さんから「このしわはどうにか消えませんか?」という質問をされた経験はありますか?
しわを自然に消すのは難しいですが、治療で改善することは可能です。患者さんの多くは30〜40代女性で、「完全に消す」より「目立たなくしたい」という希望が多いですね。
同感です。その方の希望に合わせ、予算や費用対効果も考慮しながら施術を提案しています。こういったところが、保険診療とは異なりますね。
そうですね。しわは、やはり一度できると自然消失は難しく、治療介入が必要ということ、また、個々の状況や希望に応じて対応していく必要があるということが、よくわかりました。
「一度できたら消えないの?ゴルゴ線形成メカニズム」のまとめ
- しわは真皮のコラーゲン・エラスチン減少、皮下脂肪や筋肉変化、紫外線や表情習慣の影響で形成される。
- 成因は「内因性(加齢)」「外因性(紫外線など)」「力学的要因(表情筋の収縮や圧力)」の3つに大別できる。
- ゴルゴ線はさらに骨吸収や靭帯構造、眼窩脂肪突出など解剖学的要素も加わり、自然に消えることは難しい。
結局注入しかないの? ゴルゴ線の治療法
——臨床現場ではゴルゴ線に対してどの治療法が選択されることが多いのでしょうか。
最近は、美容皮膚科ではコラーゲンピーリング、美容外科では糸リフトが比較的人気ですね。
コラーゲンピーリングは真皮を主なターゲットにしているため、皮向けが少なく、ダウンタイムが短い点が評価されています。
コラーゲンピーリングは、薬剤が真皮層に到達して線維芽細胞を刺激し、コラーゲンやエラスチンの産生を促進することで、肌の土台からハリを回復させる、という理解でよろしいでしょうか。
はい、その理解で問題ありません。
静的しわや小じわに対しては、最近はスキンブースター(ジュベルック、リジュランなど)を選択される方が増えている印象です。
比較的安価でリスクが低いため、導入しやすい治療だと思います。
スキンブースターは、ヒアルロン酸注入のように形を作る治療ではなく、肌質そのものを改善する注入法なのでしょうか。
その通りで、造形というよりはピーリングに近い位置づけですね。
糸リフトと注入・ピーリングは、外科と内科の関係のようなイメージで、糸リフトを行う方は両方を併用しているケースもあります。
ありがとうございます。併用されるケースもあるのですね。
今回、HIFUという治療法があることを知りました。
高密度焦点式超音波による熱刺激で、即時的な膠原線維収縮と、数か月にわたるコラーゲン新生を促す、という理解でよいでしょうか。
はい。ただし高エネルギーにすると、施術中に強い痛みを訴えられるケースがあります。
顔だけでなく、現在は部分痩せ目的で身体用HIFUも使われています。
HIFUは基本的に、しわ治療というよりたるみ治療という位置づけですね。
そうですね、HIFUはしわができてからというより、できる前に始めるようにお話することが多いです。
40〜50代でたるみを自覚し始めた段階で導入するほうがいいと思います。予防する方が、最終的にはコストパフォーマンスも良いです。
ターゲットはSMASであり、これは皮膚と筋肉の動きを連動させる部分です。
ここまでを踏まえると、ゴルゴ線の治療は
ヒアルロン酸注入、糸リフト、フェイスリフトが選択肢として挙げられ、コラーゲンピーリングなどは補助的な治療法、ということになるでしょうか。
その通りです。ゴルゴ線は、骨や脂肪の位置変化による構造の溝です。
コラーゲンピーリングなどの肌質改善は、予防・進行抑制・治療後の質を高める、という治療法です。補助的ではありますが、意味のある治療法でもあります。
なお、ゴルゴ線の治療法は、症状の程度に応じて次のように選択されるケースが多いと思います。
軽度:ヒアルロン酸注入
中等度:ヒアルロン酸+糸リフト
重度:フェイスリフト、またはヒアルロン酸+糸リフト
そうですね、私もそのようなイメージです。
「結局注入しかないの? ゴルゴ線の治療法」のまとめ
- ゴルゴ線は構造的なしわであり、自然消失は難しい。根本的な治療はヒアルロン酸注入や糸リフト、フェイスリフトが選択肢になる。
- コラーゲンピーリングなどはしわを改善させる治療ではなく、補助的な役割を果たす。しわの予防・進行抑制・治療後の質向上という観点では有用である。
- 症状の重症度や患者さんの状態に応じて治療法が選択される。肌質改善の治療は、症状が軽度なほど効果的とされている。
日々の積み重ねが大事!ゴルゴ線の予防とケア
——ゴルゴ線の形成を予防するためにできることを教えてください。
基本的なことですが、以下の3点にかなうものはありません。
・食生活
・睡眠
・日々のケア
バランス良く食べて、しっかり寝る。
洗顔や保湿(余裕がある日はパックまで)を徹底することですね。
——具体的には何を食べるとよいのでしょうか?
以下の栄養素、食材を意識してみるとよいでしょう。
① 抗酸化食材(コラーゲン保護)
・ビタミンC(赤パプリカ、キウイ、ブロッコリーなど)
・ビタミンE(アーモンドなど)
・カロテノイド(トマト、にんじんなど)
・ポリフェノール(緑茶、カカオ)など
② たんぱく質(1.0〜1.2g/kg/日)
・鶏むね肉
・魚(特にサバ・鮭)
・卵
・大豆
※コラーゲンの成分なので、タンパク質とビタミンCを同時に摂取すると効果的です。
③ 糖化を防ぐ
・高GI食品を減らす
・揚げ物・焦げ食品を控える
・食後血糖スパイクを避ける
※AGEsは真皮弾性低下の一因になります。
④ オメガ3脂肪酸
・青魚
・亜麻仁油
※炎症抑制と皮膚バリア機能改善に寄与します。
——では適切な睡眠時間を教えてください。
睡眠は7〜8時間が目安です。
・成長ホルモンの分泌を促進させる(入眠後3時間がピーク)
・コラーゲン合成促進
・コルチゾール低下
※慢性睡眠不足は皮膚老化を加速させることが示されています。
美容内服としてトラネキサム酸やビタミン剤が使われることがありますが、ゴルゴ線の予防や進行抑制という観点ではどうでしょうか。
ビタミンCやトラネキサム酸などは「美容内服」として処方されることがあります。
患者さんに効果実感を聞くと「少しシミが薄くなった気がする」という程度で、劇的な変化がみられた症例は経験がありません。
美容内服はシワにはあまり使わず、肌のケアというイメージだと思います。肌の調子を整える程度の効果と考えるのがよいかもしれません。
——食事の代わりにサプリメントを摂取してもよいのですか?
食事が十分に摂れている方が、あえてサプリメントを摂る必要があるのかは慎重に考える必要があると思います。
サプリメントは医薬品ほど厳格な管理がされておらず、安全性や品質のデータが十分とは限りません。
欠乏がない限り、バランスの取れた食事で十分なことが多いのではないかと思います。
——表情筋トレーニングはゴルゴ線予防に効果がありますか。
表情筋のトレーニングは、初期のたるみ予防や軽度のケアには一定の効果が期待できます。
ただし、すでに深く刻まれたゴルゴ線をセルフケアだけで完全に消すことは困難です。
——ゴルゴ線を助長させてしまうNG行動はありますか?
急激なダイエットも注意が必要です。
一般的に月に1〜2kg以上の減量は、シワができやすくなると考えられています。
行き過ぎたダイエットは、しわなど不自然な変化につながるためよくありません。
しわに関しても完璧を目指さず、ほどほどで満足する姿勢が大切だと思います。
——クリニックでできるゴルゴ線予防はありますか?
予防という意味では、ハイフなどの施術で真皮層のコラーゲンを一時的に壊し、再生成させる方法も有効です。
「日々の積み重ねが大事!ゴルゴ線の予防とケア」のまとめ
- ゴルゴ線予防の基本は「食事・睡眠・スキンケア」であり、抗酸化・タンパク質・糖化対策が重要
- 美容内服やサプリはシワ改善効果は限定的で、あくまで肌環境の補助的役割にとどまる
- 表情筋トレや過度なダイエットには限界やリスクがあり、構造変化に対しては早期予防が重要
座談会まとめ
今回の座談会では、ゴルゴ線ケアに焦点をあてて、ゴルゴ線をキレイにするための美容施術、予防法などを掘り下げました。ゴルゴ線の程度によって、必要なケアが異なることが大切そうですね!
座談会のまとめはこちらです。
ゴルゴ線は加齢による顔面構造の変化が大きく関与するため、セルフケアのみでの改善には限界がある。一方で、形成される前の段階では生活習慣が大きく影響する。
食事・睡眠・スキンケアといった基本的な習慣が、皮膚のコラーゲン維持や炎症抑制、糖化予防を通じて長期的な予防に寄与する。また、急激な体重減少や過度な美容志向が逆にシワ形成を促進する可能性も示唆された。
美容内服やサプリメントは補助的な位置づけにとどまり、構造的変化に対する直接的な効果は限定的である。したがって、ゴルゴ線対策において最も重要なのは「できるだけ早期からの生活習慣改善と予防意識」であると結論づけられる。
AIMEDではこのように読者の皆様から寄せられた質問に医師が座談会で検討を重ねてお答えしています。日頃から気になっていること、医師に直接聞きにくいことなどがありましたら、ぜひお気軽にご質問ください!
【参考文献】
- 『Definitions of groove and hollowness of the infraorbital region and clinical treatment using soft-tissue filler』(Plast Reconstr Surg Glob Open)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5968317/ - 『Anatomic Characteristics and Treatment of the Midcheek Groove by Deep Filling』(Aesthetic Plast Surg)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32852427/ - 『Observations on Periorbital and Midface Aging』(Plastic and Reconstructive Surgery)
https://journals.lww.com/plasreconsurg/Abstract/2007/06000/Observations_on_Periorbital_and_Midface.2.aspx - 『The Fat Compartments of the Face: Anatomy and Clinical Implications for Cosmetic Surgery』(Plastic and Reconstructive Surgery)
https://journals.lww.com/plasreconsurg/Abstract/2007/06000/The_Fat_Compartments_of_the_Face__Anatomy.1.aspx - 『Ultrasound Skin Tightening』(Journal of the American Academy of Dermatology)
https://www.jaad.org/article/S0190-9622(14)02141-4/fulltext
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