糖質制限ダイエットってリバウンドする?正しい糖質との距離感を医師3名に直撃

糖質制限ダイエットってリバウンドする?正しい糖質との距離感を医師3名に直撃

イントロダクション

糖質制限ダイエットは、即効性がありすぐに結果が出ると耳にします。

糖質を減らす、ゼロにするといった方法のわかりやすさから多くの方が挑戦しているのではないでしょうか。

ですが、糖質制限はリバウンドしやすいといったネガティブな噂も聞こえてきます。そこで今回は医師3名に糖質制限の本当のトコロと正しい方法を質問しました。これから糖質制限に挑戦する方、まさにトライ中の方は必見です!

参加医の自己紹介

たけちん先生@呼吸器外科・産業医
2016年医師免許取得。大学病院・市中病院で肺がん手術を中心に診療してきた。現在は手術に加え、救急外来や企業の産業医としても活動している。自身も健康管理の一環として食事を見直しており、臨床と生活の両面から糖質の扱いを考えている。

Kingfish先生@消化器外科
2002年医師免許取得。消化器外科専門医・肝臓専門医。2年前にクリニックを承継し、現在は消化器内科診療を中心に行う一方、週2回は総合病院で手術にも従事している。自身のダイエット経験も踏まえ、実践的視点から発言。

CK先生@代謝内分泌内科
2009年医師免許取得。クリニックで糖尿病・甲状腺など内分泌疾患を中心に診療。健診異常をきっかけに、自己判断で極端な糖質制限を行う患者に日常的に向き合っており、糖質への誤解を臨床で実感している。

糖質ってそもそも何?糖質制限ダイエットの基礎知識

——糖質って何ですか?炭水化物とは異なるのですか?

まず整理として、糖質は三大栄養素のうち炭水化物に含まれる成分で、炭水化物は糖質と食物繊維に分かれます。糖質は消化・吸収されて血糖となり、エネルギー源として使われます。脳や赤血球は特にブドウ糖への依存度が高いですね。

一方で、同じ糖質でも摂取のされ方が違います。主食として入る糖質と、甘い飲料や菓子として短時間に入る糖質では、体への影響は同じではありません。

食物繊維は炭水化物ではあるが「吸収されにくい成分」で、腸の動きを助け、食後血糖の上がり方をゆるやかにし、腹持ちにも関わります。主食でも、精製度が低い(全粒・雑穀・オートミール・豆・いも等)ほど食物繊維が増え、同じ糖質量でも体感が変わります。

日本の食事摂取基準でも、炭水化物は総エネルギーの目安50〜65%を占める想定で、「糖質をゼロにする」前提ではありません(参考1)。

——ダイエットをしている場合総エネルギーの50〜65%も炭水化物にすると多すぎると感じてしまいますが、いかがでしょうか。

たしかに、炭水化物がエネルギーの50〜65%という目安は、ダイエット視点だと多い印象があります。減量目的なら、糖質は30%程度に抑えた方がリバウンドしにくいのでは、と感じています。

50〜65%というのは、減量目的ではなく国民全体の健康を想定した目安ですね。まず蛋白質と脂質の範囲を決めて、残りを炭水化物として設定するという考え方です(参考2)。

減量目的では糖質30%が合う人もいますが、長期では量だけでなく、続けやすさや糖質の中身が重要になってきます。

補足すると、炭水化物摂取量が50〜55%エネルギーの集団で、総死亡率が最も低かったという疫学データもあります。短期の体重変化ではなく、長期的な健康を考えると、炭水化物を完全に避ける前提ではないと考えています。

——炭水化物なら何でもよいのでしょうか?

同じ炭水化物でも、食物繊維が多く低GIのものと、高GIのものでは体への影響はかなり違いますよね。

その通りですね。量に加えて質が重要です。主食はできればGIの低いものを選ぶことで、血糖変動は抑えられます。一方で、加糖飲料や加工食品に含まれる添加糖類は、2型糖尿病(参考3)や体重増加(参考4)との関連が強く指摘されています。

——ケトジェニックダイエットについては、専門家の立場からはどう見ていますか。

ケトジェニックダイエットとは、炭水化物の摂取を1日50g未満に抑え、代わりに蛋白質と脂肪の摂取を増やす食事パターンです。

これはどのくらい少ない炭水化物量かというと、厚生労働省の食事摂取基準で例えば30~49歳男性で身体活動レベル1と低めの方の場合、推定エネルギー必要量は2300kcal/日になります。50~65%を炭水化物から摂る場合、炭水化物量は約288g~374gです。なので、通常のおよそ1/6~1/7くらいの炭水化物量です(参考5)。

ケトン食は短期的には体重を減らしますが、LDLコレステロールが上昇する傾向がある、また長期的な心血管疾患予防という観点ではデータは不足しているようです。そのため、短期的な減量目的では選択肢になるかもしれませんが、その分デメリットもあるのではないかと考えます。

実際にやると体重は一気に落ちますが、最初は水分が抜けているだけですね。長く続けるのは難しいと感じました。

糖質制限は短期では強力ですが、長期では代謝の柔軟性を失いやすい。糖質か脂肪か、状況に応じて使い分けられる状態を取り戻すことが本質だと思います。

ラット実験レベルではありますが甘味は麻薬より中毒性が高いという研究論文もあります(参考6)。

甘味の中毒性も、ダイエットを難しくしている要因ですよね。

甘味が報酬系を刺激し、習慣化しやすいのは事実です。患者説明では「やめにくい」という点を丁寧に伝えるのが現実的だと思います。

診療では、糖質が悪者だと誤解している患者さんにもよく出会います。糖質は脳の重要なエネルギー源です。必要量を摂りつつ、上手に付き合うことが大切だと感じています。

「糖質ってそもそも何?糖質制限ダイエットの基礎知識」のまとめ

  • 糖質は身体にとって必要なエネルギー源であり、「ゼロにすべきもの」ではない
  • 健康上の問題になりやすいのは、加糖飲料や菓子などの急速に吸収される糖質である
  • 糖質との付き合い方は、長期的には量だけでなく、質と続けやすさが重要である

糖質を減らしすぎると起きる不調とそのメカニズム

——糖質を減らすと身体に不調が起きる気がするのですが、なぜですか?

糖質を減らしすぎると起きる不調ですが、これは「糖が悪いから」起きるのではなく、体が燃料の切り替えに追いつかないことや、食事全体の量や内容が偏ることで生じます。

主食を急に抜くと、筋肉や肝臓のグリコーゲンが減り、水分も一緒に抜けやすくなるため、短期的には体重が落ちたように見えます。ただその過程で、だるさ、集中力低下、頭痛、いら立ち、睡眠の質の低下、便秘といった症状が出る人もいます。

食物繊維や水分が減ると便通が乱れ、食事量が減りすぎると活動量も落ちて、「頑張っているのに疲れる」状態になりやすいです。さらに、糖尿病治療薬を使っている方が自己流で糖質を大きく減らすと、低血糖リスクも高まります。

急激な糖質制限で体調が崩れるのは、体の燃料切り替えがうまくいっていないためですよね。

脂肪燃焼のスイッチを入れるには、高インスリン状態を作らないことが重要だと考えています。そのため間食を減らし、血糖値が急上昇しにくい食事が大切です。

ダイエット初期の辛さは、脂肪燃焼のサイクルがまだ整っていないためで、その時期にMCTは有効です。すぐにケトン体になりエネルギーとして使われるので、代謝が整うまでのつなぎとして説明しています。空腹感が減り、有酸素運動が十分にできるようになれば不要になります。

補足します。SU剤やインスリンなど低血糖を起こしやすい薬剤を使用している場合、糖質が少ない食事は低血糖の危険性を高めます。

たしかに、一部の治療薬使用中は、極端な糖質制限や欠食が低血糖含めたリスクになります。食事を大きく変えるときは、主治医とセットで調整することが大切です。

——最近のダイエット治療薬は身体に悪影響を及ぼしますか?

近年、自由診療でSGLT2阻害薬がやせ薬として使用されるケースもありますが、自己判断で糖質制限を行うと危険です(参考8)。

SGLT2阻害薬使用中を治療のために服用しているときに極端な糖質制限を行うことでケトアシドーシスのリスクが高まるため、学会からも適正使用のrecommendationが出ています。私はSGLT2阻害薬を服用中の患者さんには、毎食ごはん100g以上の炭水化物を摂るように伝えています。

——GLP-1製剤はいかがでしょうか?

最近流行しているGLP-1製剤は、食欲を抑え、血糖を上昇させにくい点で非常に優れています。ただ、ダイエット目的の保険適応が厳しすぎると感じます。

GLP-1系の薬は、食欲を落ち着かせ、食後血糖の急上昇を抑えやすいため、生活習慣の土台づくりを助ける補助になり得ます。ただし、日本の保険診療では肥満症への適応が狭く、自由診療で使われる場合は自己判断で食事を極端に変えることが危険になる場面もあります。リバウンドの報告がある以上、食事の急変を避け、医師と一緒に調整する必要があります。

GLP-1製剤は体重減少をきっかけに血圧・脂質・血糖の改善が得られることも多く、適応のある方が使うこと自体は問題ありません。ただ、使用をやめると体重が増加するという報告もあります。減量の土台はあくまで食事と運動であり、その上で導入するのが望ましいと考えています。

減量目的のGLP-1使用には賛成です。脂肪肝診療では、これまで指導しかできなかった部分に、実際に痩せる手段を提示できるようになりました。体重が落ちれば肝機能や脂肪肝も改善し、血糖が安定して仕事のパフォーマンスが上がる方も多いです。外科的にも肥満は合併症リスクが高く、減量の意義は大きいと感じています。

薬は近道にもきっかけにもなりますが、薬だけで完結するものではありません。やめた後に戻りやすい以上、食事と運動の土台づくりとセットで考えるのが現実的です。

薬を使う・使わないに関わらず、極端な糖質カットで一気に頑張るより、「急に抜かない」「続く形で整える」ことが重要だと思います。

「糖質を減らしすぎると起きる不調」のまとめ

  • 糖質制限は「減らすこと」自体よりも、「減らし方」と全体のバランスが重要である
  • 薬物療法は減量のきっかけや補助になり得るが、食事・運動という生活習慣の土台がなければ持続が難しい
  • 極端な糖質制限や急激な食事変更は反動やリバウンドを招きやすいため、急に抜かず、医師と相談しながら継続可能な形に整えることが現実的である

“正しい糖質”=何を選ぶ?健やかかつ効果が出る糖質との付き合い方

——糖質を完全にカットするのではなく適量を摂取するとよいとのことですが、どのような糖質を選ぶとよいのですか?

私はまず糖質の“量”よりも先に、どんな形で体に入る糖質かを見ることが大切だと思っています。同じ糖質量でも、噛む必要がなく、吸収が速く、満腹感が弱い形だと、血糖が一気に上がりやすく、その結果として摂取量も増えがちです。典型例は、砂糖入り飲料や菓子、菓子パンのようなものですね。

一方で、全粒穀物や雑穀、オートミール、豆類、いも類、果物などは、食物繊維が多く噛む工程が入るため、食後血糖の上がり方が比較的緩やかで腹持ちにもつながります。「糖質=悪」ではなく、どういう糖質かを見る視点が重要だと感じています。

——低GIの食品を選んでおけばOKということですか?

低GIも選ぶポイントにはなりますが、GIの数字だけで優劣を決めないことも大切です。GIが低めでも量が多ければ血糖は上がりますし、逆に主食を抜いても甘い飲み物や間食が残れば「糖質の質」は改善しません。WHOは、遊離糖の摂取を総エネルギーの10%未満に減らすことを強く推奨し、可能なら5%未満が追加的に有益としています(参考9)。加工食品では原材料表示で「砂糖・果糖ぶどう糖液糖・シロップ」などを見て、どこに糖が隠れているかを把握すると選びやすくなります。

まさにその通りですね。診療の場でも「糖質をゼロにしましょう」という話ではなく、どう選ぶかをお伝えすることが多いです。

よく使う表現としては、「白いものより茶色いものを選びましょう」という言い方ですね。

具体的には、白米より玄米、白いパンより全粒粉パン、こうした選択を積み重ねるだけでも血糖の反応は変わってきます。

GIという指標は、食品そのものが血糖をどれくらい急に上げるかを示すものですが、GIだけで判断するのはやはり不十分だと感じています。

そこで重要になるのがGL、つまり量を含めた考え方です。

GIが高くても量が少なければ影響は限定的ですし、逆にGIが低くても大量に摂れば血糖はしっかり上がります。

多くの疫学研究でも、GIやGLと2型糖尿病リスクの関連が示されていますね(参考10)。

私も「正しい糖質」という言葉から連想するのは、やはり低GIを意識した食事だと思います。白糖や清涼飲料水は血糖が素早く上がりすぎる典型例ですよね。

最近では、HbA1cよりも血糖変動そのものが動脈硬化の独立したリスク因子として認識されるようになってきています(参考11)。

そう考えると、血糖を急激に上げない食材や食事方法は、長期的な健康の観点でも非常に重要だと感じています。

私自身フリースタイルリブレで血糖を見ていましたが、いわゆるベジファーストやタンパクファーストは、普通の食事量では劇的な血糖抑制効果までは感じませんでした。ただ、BBQのように大量の肉を食べた後に炭水化物を摂ると、血糖の上昇がかなり緩やかになるのは実感しましたね。

私もリブレを使用した経験がありますが、実際に数値で見ると、食材や食べ方の影響がよく分かります。

普段玄米を食べているのですが、試しに白米を食べたところ、明らかに血糖の山が高くなりました。また、朝の空腹時におかずなしで干し芋だけを食べたときには、血糖の上昇カーブが非常に急で、グラフ上でも先端のとがった山ができました。

同じ糖質でも、空腹時に単独で摂るという条件が重なると、反応が大きく変わるのだと実感しました。

このあたりは、数値だけで判断するのではなく、以下の3点に着目するとよさそうですね。

①食品の精製度や糖の入り方

②摂取量、つまりGLの視点

③個人差

まずはイメージとして「白い・甘い・液体」といった、血糖が上がりやすい形を見分けること。

そして「少量なら影響は限定的だが、量が増えると一気に変わる」という量の感覚を持ってもらうことが、最も実用的だと思います。

血糖変動は症状が出ないためどうしても軽視されがちですが、可視化されると選び方が変わりますよね。

自分が何で上がりやすいのかを知ること自体が、行動変容のきっかけになると感じています。

「“正しい糖質”=何を選ぶ?健やかかつ効果が出る糖質との付き合い方」のまとめ

  • 糖質を選ぶ際には摂取量だけで判断せず、「形」や「質」を優先して見ることが重要である。噛む工程があり、未精製な糖質ほど血糖上昇は緩やかになりやすい
  • GIという指標は参考になるものの、それ単独では不十分であり、摂取量を含めたGLの視点を組み合わせて考える必要がある。少量であれば影響は限定的だが、量が増えることで血糖反応は大きく変化する
  • 同じ糖質であっても、空腹時かどうか、単独摂取か他の栄養素と組み合わせるかといった食べ方や個人差によって、血糖変動は大きく異なる

糖質制限しながらリバウンドしない”ルール”

——なぜ糖質制限はリバウンドしやすいといわれているのでしょうか?

極端に減らして最初は体重が落ちる→強い空腹やストレスが蓄積する→反動で甘いものや主食を取り戻すように食べてしまう→自己嫌悪でさらに制限する、というループに入りやすい。

生理学的にも、減量後は食欲を高めるホルモン環境が長く続き、体が元の体重に戻ろうとする力が働くことが示されています。つまり、リバウンドは根性の問題ではなく、強すぎる制限自体が反動を生む設計になっています(参考7)。

——糖質に気を付けながら痩せる際にリバウンドしないためのルールを教えてください

リバウンドしないための“ルール”は、「仕組み化」が中心になると考えます。体重を落とした後は、通常、食欲を高める方向の生理反応がしばらく続きます。同じ生活に戻せば体重も戻りやすい。だからこそ、減量期の特別な努力ではなく、維持期に回り続ける行動を少数に絞って固定することが重要です。

——具体的にはどうすればよいのでしょうか?

具体的な仕組みとして、まずは「自己モニタリング」です。体重を測り、増え始めたら早めに修正する。毎日測るのが理想ですが、まずは週1回からでもよい。測ること自体がブレーキになります。

次に「食事パターンを崩しにくくする」。平日と週末で食事リズムが大きく変わると摂取量が跳ねやすい。主食・主菜・副菜の枠組みを決めておき、多少の食べ過ぎがあっても、大きなリズムを崩さないことです。

三つ目は「活動量を落とさない」。運動は10分単位でもよいので、継続できる形にする。糖質制限を行うのであれば、必ず運動を継続することが重要です。

四つ目は「環境整備」。つい食べてしまうものを置かない、飲み物は基本無糖、買い置きは小分けにするなど、意思決定の回数を減らす。毎食たんぱく質と食物繊維を確保すると空腹の波が小さくなり、間食が減りやすくなります。

さらに維持期では、ルールが崩れる場面をあらかじめ想定します。外食、飲み会、夜更かし、出張は乱れやすいですよね。

①アルコールやつまみの上限を決める

②翌朝は極端に抜かず、元の型に戻す

このように“戻り方”を事前に決めておくと再現性が上がります。増えたからといって翌日から極端に抜くのではなく、数日単位で食事と活動量を元に戻すことが長期維持のコツです。

長期維持に成功している人に共通する行動として、定期的な体重測定、高い身体活動、朝食習慣、平日・週末で食習慣を大きく変えないことなどが報告されています。

「リバウンドしないルール」は結局、“運動する・食べ過ぎない”という話になります。ただ実際の壁は“食欲”です。ここをどう無理なくコントロールするか、あるいは食欲が暴れにくい体質に変えていくかが本丸だと思います。

その意味で血糖のコントロールは重要です。腸内フローラの多様性と肥満は逆相関が示されています。多様な食物繊維を摂取することは、努力に頼らない体質改善につながる可能性があります。

体質改善の食事としては、地中海食が注目されています。糖質を極端に切るのではなく、良質な脂質、野菜、全粒穀物を中心に、血糖の揺れを抑え代謝を安定させる食事です。オリーブオイル中心の食事は肥満だけでなく、慢性炎症を背景とする心血管イベントの抑制にもエビデンスがあります。

——ダイエットには停滞期があると感じます。その際の考え方を教えてください。

体重減少は一直線ではありません。減量当初は順調に落ちますが、1ヵ月ほどで停滞期に入り、再び減る。この繰り返しです。

停滞期で体重が減らず、「頑張っているのに無駄だ」と諦めてしまうケースがあります。しかし停滞期は「体重が増えなければよい」というスタンスでよく、取り組みは無駄ではありません。このサイクルを理解しておくことが、リバウンドを防ぐ鍵になります。

また、イレギュラーが発生するのは当然という前提でいることも重要です。生活がある以上、食事や運動が乱れることは自然です。崩れたときの自分なりの対処法を決めておけば、リスタートしやすくなります。

肥満症診療ガイドラインでは、行動療法の一つとして「グラフ化体重日記」が挙げられています。体重を測定し、記録し、視覚化することで減量効果が上がるとされています。1日4回測定が推奨されていますが、まずは朝1回から習慣化するのが現実的です。アプリなどを活用すれば、経時的変化も把握しやすくなります。

体重は一直線に落ちるものではなく、停滞期を挟む波形です。ここを知らないと「減らない=失敗」と誤解し、手放してしまう。それがリバウンドを分けるポイントになります。

また、食欲が増える瞬間への対処が重要です。糖質制限と運動を組み合わせると基礎代謝が上がり、自然と食欲も増えます。そのとき、どれだけ増やしてよいのかというinとoutのバランスを考えるとよいでしょう。我慢ではなく、食欲が暴れにくい状態を作る発想が大切です。

血糖の揺れを小さくする、食物繊維を増やして腸内環境を整える。地中海食の考え方も、この「崩れにくい生活の型」を作るアプローチと重なります。

・食欲に振り回されにくい食事の土台を作る

・停滞期を想定内にする

・体重を見える化する

この3点が「続けられる減量」につながり、「リバウンドしないルール」に結びつくと考えています。

「糖質制限しながらリバウンドしない”ルール”」のまとめ

  • リバウンド予防の中核は「仕組み化」であり、自己モニタリング・食事パターン固定・活動量維持・環境整備によって再現性を高めることが重要である。
  • 体重は波形で推移し、停滞期は必ず訪れる。停滞期を「増えなければよい」と捉え、グラフ化体重日記などで客観視することが継続の鍵となる。
  • 最大の壁は食欲であり、血糖の安定、食物繊維摂取、腸内環境改善、地中海食的アプローチなど、食欲が暴れにくい体質・食事構造を作ることが長期維持につながる。

座談会まとめ

  • 減量の成否は「強い意志」ではなく、「崩れにくい生活の型」を構築できるかにかかっている。
  • 停滞期やイレギュラーを想定内とし、戻し方を決めておくことがリバウンド防止の分岐点である。
  • 血糖安定と腸内環境改善を軸とした食事設計は、努力に依存しない長期的体重維持の基盤となる。

AIMEDでは、このように読者の皆様から寄せられた質問に対して、医師3名が座談会を開き回答いたします。皆様もわからないこと、日頃から気になっていること、病院では聞きにくいことなどがございましたら、お気軽に質問をお寄せください。

  1. 『What Is a “Well-Balanced Diet” for a Long and Healthy Life? — The Balance of the Three Major Nutrients in the Diet』(Tokyo Metropolitan Institute for Geriatrics and Gerontology)
  2. 『日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント』(厚生労働省)
  3. 『The role of sugar-sweetened beverages in the global epidemics of obesity and chronic diseases』(Nature Reviews Endocrinology)
  4. 『Sugar-sweetened beverage consumption and weight gain in children and adults: A systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies and randomized controlled trials』(The American Journal of Clinical Nutrition)
  5. 『Effects of ketogenic diet on health outcomes: An umbrella review of meta-analyses of randomized clinical trials』(BMC Medicine)
  6. 『Intense Sweetness Surpasses Cocaine Reward』(PLOS ONE)
  7. 『Long-term persistence of hormonal adaptations to weight loss』(New England Journal of Medicine)
  8. 『糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation(改訂版)』(日本糖尿病学会)
  9. 『Guideline: Sugars intake for adults and children』(World Health Organization)
  10. 『GIとカーボカウント』(糖尿病 = Journal of the Japan Diabetes Society)
  11. 『Associations between continuous glucose monitoring-derived metrics and arterial stiffness in Japanese patients with type 2 diabetes』(Cardiovascular Diabetology)
  12. 『Long-term weight loss maintenance』(The American Journal of Clinical Nutrition)
  13. 『An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest』(Nature)
  14. 『肥満症診療ガイドライン2022』(日本肥満学会)
  15. 『 2025 Best Diets Rankings』(U.S. News & World Report)

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