血液検査や尿検査でがんがわかる?自由診療がん検査の弊害とは

血液検査や尿検査でがんがわかる?自由診療がん検査の弊害とは

イントロダクション

今回のAIMED座談会のテーマは、「血液検査や尿検査で、がんはどこまでわかるのか」です。

「血液一滴でがんがわかる」「尿だけで全身のがんを調べられる」と聞くと、手軽な検査で早期発見できるのではないかと期待する方もいるでしょう。一方で、検査には偽陽性や偽陰性、過剰診断などの不利益もあり、高額な自由診療だから通常のがん検診より優れているとは限りません。

消化器、婦人科、泌尿器科の医師3名が、腫瘍マーカーや画像検査の限界、自由診療のがん検査を受ける際の注意点、後悔しない検査の選び方について徹底的に討論しました。

【参加医師の自己紹介】

kingfish先生@消化器外科
2002年医師免許取得。消化器外科医として市中病院で手術に携わり、サブスペシャリティは肝胆膵。2年前に実家のクリニックを継承し、現在は開業医としてがん検診も行っている。

ギネコロ先生

ギネコロ先生@産婦人科
2016年医師免許取得の産婦人科医。サブスペシャリティは腫瘍分野で、現在は大学院に在籍している。非常勤でがん検診にも携わっている。

サラリ医マン先生@泌尿器科
2007年医師免許取得。サブスペシャリティは男性不妊と前立腺がん。市中病院で勤務し、前立腺がんの放射線治療を中心に、多くの患者さんを診療している。PSA高値に関する相談も多く受けている。

血液検査や尿検査で、がんはどこまでわかる?

——血液検査や尿検査で手軽にがんを調べられると耳にしました。この検査で本当にがんがわかるのですか?

血液検査や尿検査は、がんを見つけるヒントにはなっても、それだけで診断がつく検査ではありません。

国立がん研究センターは、腫瘍マーカーの値だけではがんを診断できず、がんがあっても上がらないことや、がんがなくても上がることがあると説明しています。また、早期発見の手段として必ずしも有効とはいえず、画像検査や病理検査などと合わせて総合的に判断する必要があるとされています。

私たち医師は、一つの採血項目だけでがんを特定できないことを理解していますが、一般の方には「採血や尿検査で、がんが全部わかる」と思われていることが少なくないと感じます。一方で、異常の手がかりになったり、診断後の経過を見る参考になったりする場面もあります。

消化器領域では、CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーを気にされる方が非常に多いです。私は、治療可能な段階で消化管のがんを見つけるには、腫瘍マーカーよりも内視鏡が重要だと伝えています。腫瘍マーカーを強く信頼している方には、「早期発見の検査としては当てにならない」と率直に説明しています。

婦人科領域でも、ほぼ同じような状況だと思います。基本的には、根拠がないことはきっぱりと伝えます。

婦人科で主に扱うがんは、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんです。それぞれ事情が異なります。

子宮頸がんには、子宮頸がん検診という確立された検診があります。少し痛みを伴うため、完全に非侵襲的とはいいにくいのですが、これは必ず勧めています。その他の採血や尿検査による方法については、科学的根拠がないことを明確に伝えます。

子宮体がんには確立された検診がないため、性器出血などの症状が出た段階で速やかに受診するよう伝えています。一部のクリニックでは「子宮体がん検診」を行っていますが、強い根拠があるとはいえません。

少し特殊なのが卵巣がんです。こちらも、基本的には確立された検診方法がありません。卵巣がんの腫瘍マーカーにCA125があり、採血を行うクリニックもありますが、一般の方を対象とする検診としては基本的に根拠がありません。

ただし、遺伝性乳がん卵巣がん症候群があり、予防的な卵管卵巣切除を受けなかった方では、少し事情が異なります。BRCAの異常によってがんの累積発症率が高くなるため、予防切除またはフォローアップを行います。強い根拠があるわけではありませんが、エコーとCA125によるフォローアップを自費で考慮することがあります。

PSAは前立腺肥大や炎症でも上昇します。患者さんには、たとえばPSAが4程度の場合、がんが検出される確率は30%程度であると説明したうえで、次の点を伝えています。

・PSAが一桁台で、がんが見つかった場合は、ほとんどが早期がんであること

・補助的な検査としてMRIなどがあること

・最終的な確定には針生検が必要であること

高齢や併存疾患のために生検が難しい方では、あえて針生検を行わず、定期的に経過観察することもあります。

前立腺がんでもBRCA検査を行いますが、生検検体や、がんと確定した方に対して採血を行うもので、家族性を調べる目的で一律にあらかじめ測定するものではありません。

ここまでのお話を整理すると、血液検査や尿検査は、がんを見つけるヒントにはなっても、それだけで診断がつくものではないという点は共通していますね。有用性が、がんの種類によって大きく異なることも重要だと思います。

一般の方が気になるのは、「異常なしなら安心してよいのか」「異常ありなら、どこまで心配すべきか」という点ではないでしょうか。

消化器の立場からいうと、CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーを気にされる方は本当に多いのですが、私は普段から、早期発見のための検査としては当てにならないと率直に伝えています。早期の胃がんや大腸がんでは、腫瘍マーカーが上がらないことも珍しくありません。反対に、がんがなくても高く出ることがあります。

消化管は内視鏡でスクリーニングできますが、膵がんは一般的なスクリーニングでは見つけにくく、早期の膵がんはCTでも疑って読影しなければわからないことがあります。人間ドックでCTを受けることはできても、超音波内視鏡まで行うのは現実的ではありません。膵がんは、今も早期発見のハードルが高いがんです。

検査で陽性と出た以上、「心配しなくてよい」と言い切ってしまうことは、安全管理上のリスクがあると考えています。そのため、どうしても明確に言い切れない回答になってしまうのが実情です。

一般的な集団と比べて、がんのリスクが上がっているわけではないという前提を説明し、本人が希望すれば画像検査などを追加することにしています。

——自由診療のアミノインデックスや線虫検査について、実際にそれをきっかけに早期がんを発見した経験はありますか。

アミノインデックスなどをきっかけに、私自身ががんを見つけた経験はありません。

私の勤務先では、アミノインデックスで「リスクあり」と判定され、精査を希望する場合は、精査もすべて自費で行うという通達が出ています。診療する側としては、方針が明確になっているほうが対応しやすいです。

実際に外来で、「血液一滴でわかる検査はどうですか」と患者さんから聞かれることがあります。検査結果そのもの以上に、その結果をどう受け止めるかが重要なのだと思います。

先生方の外来で、「その受け止め方は危険だ」と感じるのはどのようなケースでしょうか。反対に、必要以上に不安になっているケースもあると思います。「安心しすぎ」と「怖がりすぎ」の両方について教えてください。

前立腺がんでは、徹底的に生検すると、悪性度が低いものまで見つかる可能性があります。悪性度が低く、腫瘍量が少ないがんでは監視療法が選択されるように、「見つけなくても困らなかったがん」が含まれることがあります。別の原因で天寿をまっとうする可能性が高い方もいます。

アミノインデックスを受ける方は健康意識が高いことが多く、結果について思い悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。前立腺がんについては、人間ドックのオプションでPSAを測定することで十分な場合が多いと思います。

前立腺がんでよくあるのは、PSAが4を少しでも超えた時点で、非常に不安になって来院されるケースです。PSAは前立腺肥大、炎症、刺激など、さまざまな原因で高くなります。また、年齢や全身状態によっては、がんよりも寿命のほうを先に考えることもあります。一桁台であれば、まずは落ち着いて評価を受けていただきたいです。

一方で、前立腺がんの治療後は「4」が基準ではなくなります。診断前と治療後では、判断基準が変わる点にも注意が必要です。

婦人科には、前立腺がんのような監視療法の概念がないため、勉強になります。

卵巣がんも膵がんと同じく見つけにくく、似た構図があります。「CA125が正常だったから安心」という受け止め方も危ういです。早期卵巣がんでは、CA125は半数程度しか上がりません。特にI期や、粘液性がん、明細胞がんでは感度が低いとされています。

反対に、子宮内膜症のフォロー中にCA125が高めに出て、数字だけを見て強く不安になる方もいます。根気強く説明する必要がありますが、短い外来では難しいこともあります。

結局、説明に必要なのは時間なのだと思います。当院には初診外来がありますが、「一人の患者さんのために30分を確保する」というよりも、通常診療の合間で初診を受け入れている状況です。予約外も基本的に受けているため、対応できる時間には限りがあります。

これは保険診療や診療報酬制度とも関係します。自由診療で受けた検査について、保険診療でどこまで対応すべきかという問題にもつながります。

泌尿器がんのうち、膀胱がんには有用な腫瘍マーカーがほとんどありません。スクリーニングとしては尿細胞診やエコーがありますが、より診断精度の高い膀胱鏡を、胃カメラのような感覚で気軽に受けてもらえるかというと難しいところです。

個人的には、子宮頸がん検診にエコーを追加したセットを勧めています。子宮体がんや卵巣がんの発見につながることがあるからです。

ただし、集団に対して定期的なスクリーニングエコーを行うことが、卵巣がんの早期発見につながるという根拠はありません。卵巣がんは突然、進行がんとして見つかることが多く、集団検診としての根拠が乏しい状態です。

それでも、偶発的に見つかって命が助かるケースもあるため、私は基本的にはエコーを勧めています。

前立腺がんには、監視でよく、そのまま大きくならずに一生を過ごす方も多いですよね。甲状腺がんにも似た印象があります。

一方で、消化器がんには、経過観察だけでよいものはほとんどありません。完治が望める早期の段階で見つける方法が求められていますし、それが非侵襲的な検査であれば理想的です。線虫検査やアミノインデックスもコンセプトはよいと思いますが、精度はまだ課題だと感じます。今後、よりよい検査が開発されることを期待しています。

膵がんの早期発見は、保険診療で行う一般的な検査だけでは非常に難しいです。エコーは体格によって見え方が大きく異なり、体格の大きい方ではほとんど見えないことがあります。痩せている方でも、膵臓の全体像を確実に見られることは多くありません。

スクリーニングエコーが力を発揮しやすいのは、肝臓や胆のうです。いずれも無症状の段階で見つけられることがあり、実際に発見することもあります。

今回のテーマをまとめると、血液検査や尿検査は手軽で魅力的ですが、単独でがんの有無を決められる検査ではありません。がんの種類によって補助的に役立つ場面がある一方、期待しすぎると誤解につながります。「何がわかり、何がわからないのか」を理解したうえで使うことが大切だと思います。

「血液検査や尿検査で、がんはどこまでわかる?」のまとめ

  • 血液・尿検査だけで、がんの確定診断はできない
  • 腫瘍マーカーの有用性は、がんの種類や状況で異なる
  • 正常値も異常値も、結果だけで判断しないことが重要

自由診療のがん検査は、通常のがん検診より優れている?

——自由診療のがん検査は通常のがん健診よりもよいものなのでしょうか?

一般の方の中には、「自由診療のほうが通常の健診より詳しく調べられるのではないか」「自費で高い検査なら、その分早く見つかるのではないか」と考える方も多いと思います。

ただ、たくさん調べられることと、実際に役立つことは同じではありません。この、医師と患者さんの検査に対する認識の違いが問題だと感じます。

国が推奨するがん検診は、科学的根拠に基づいて絞り込まれています。一方、自由診療で行われている検査には、魅力的に見えても、本当に有効かどうかを別に検証する必要があるものもあります。

——患者として保険診療、対策型がん検診、人間ドック、自由診療の違いをどのように整理したらよいのでしょうか?

産婦人科領域では、妊婦健診や、少し前までの不妊治療も自由診療でした。そのため、「自由診療だから根拠がない」とは言い切れません。特に先進的な領域では、根拠があっても保険収載されていないものがあります。

また、予防医療に保険が適用されにくいことは、日本の特徴だと思います。

数少ない例として、遺伝性乳がん卵巣がん症候群などで、未発症の部位をあらかじめ切除する「予防的卵管卵巣切除」に保険が適用されたことは、次の一歩に進んだと感じました。

患者さんには、まず「その検査や治療に根拠があるか」を確認し、次に「保険や公費で賄われているか」という順で説明しています。

前立腺がんにはPSAという腫瘍マーカーが確立しているため、自治体のがん検診、人間ドック、クリニックの自費検診のいずれでも、検査自体は採血で済みます。大きな違いは、保険や公費などの補助があるかどうかだと思います。

一方で、地域のクリニックが、結果を十分に評価できないまま「採血のついでに」とPSAを測ることには疑問があります。

年齢も重要です。たとえば90歳でPSAが4、前立腺肥大もある方では、追加検査が不要なこともあります。NCCNのガイドラインでも、期待余命が短い方では、ある程度進行していても経過観察を選択することがあります。症例ごとの判断が必要で、「PSAが4を超えたか」だけではない、臨床に即した評価基準が必要だと感じます。

膀胱がんや腎細胞がんは、血尿で見つかることもありますが、偶然に発見されることも多いがんです。また、有用な腫瘍マーカーがありません。

検診のエコーは上腹部だけで、骨盤腔まで含まれないことが少なくありません。せっかくエコー検査を行うのであれば、骨盤腔も含めてほしいと思います。低侵襲で、肝臓、胆のう、膵臓なども評価できるため、エコーはある程度有用な検査だと考えています。

骨盤腔のエコーについては、婦人科の立場からも同感です。偶然に病変が見つかることもあるため、可能であれば見てほしいですね。

エコーは技師の技量に左右される部分が大きいですが、費用対効果は高い検査だと思います。ただし、体格の大きい方では描出しにくいため、痩せている方のほうがメリットを得やすい面があります。

予防医療に保険が適用されにくいという指摘は、その通りだと思います。

費用をかけて人間ドックや自費診療を受けられる方は、健康意識も高く、早期発見につながることがあります。早期に見つかれば、結果として医療費も抑えられる可能性があります。

一方、費用面から人間ドックや自費検査を受けない方は、症状が出るまで医療機関を受診せず、進行がんで見つかることがあります。大腸がんは典型的です。便潜血検査には公費による仕組みがありますが、Stage 0の段階で見つけることは難しいと感じます。

ポリープの段階で内視鏡切除できれば5000点程度で済むところが、腹腔鏡手術では59510点になることがあります。入院や、その後の化学療法、社会的・経済的な損失まで考えると、早期発見の意義は大きいです。予防や早期発見も含めて、医療経済の面から検査制度を考えてほしいと思います。

エコーにも、もっと補助があってよいのではないでしょうか。非侵襲的で、多くの情報を得られる検査です。私もクリニックでスクリーニング的に行うことが多く、症状が出る前の肝臓がんを見つけることがあります。胆のうがんや卵巣腫瘍を見つけた経験もあります。

ただし、エコーには、体格や施行者によって検出率が大きく変わるというデメリットがあります。最近は、腹部エコーを行える医師も減っている印象です。

ここまでの議論で見えてきたのは、「自由診療だから優れている」「保険診療だから十分」という単純な話ではないことです。有用性がありそうでも、制度上、十分に後押しされていない検査もあります。

大切なのは、その検査が自費かどうかではなく、根拠があるか、誰に向いているか、結果が次の行動につながるかという視点です。

患者さんから「自由診療のがん検査を受けたほうがよいですか」と相談された場合、どのようなケースなら検討の余地があり、どのようなケースでは勧めにくいでしょうか。

前立腺がんでは家族歴がリスクになるため、家族歴がある方には検査を勧めたいです。ただし、その場合でもPSAで十分なことが多いと思います。あるいは、前立腺以外の情報も得られるMRIを検討することがあります。

腎臓がんや膀胱がんについても、よくわからない検査を受けるより、エコー検査のほうが得られるメリットは多いと思います。

自由診療でアミノインデックスや線虫検査を受けても、何か指摘された後の次のステップは画像検査になります。それなら、心配がある場合は最初から画像検査を考えるほうがよいのではないでしょうか。

婦人科では、まず子宮頸がん検診です。細胞診に、必要に応じてHPV検査を組み合わせます。自費で受ける場合でも、検査自体には確かな根拠があります。私は、エコーも一緒に受けることを勧めています。

次に、遺伝性腫瘍のリスクが疑われる場合です。遺伝性乳がん卵巣がん症候群のBRCA1・BRCA2や、Lynch症候群などが該当します。乳がんや卵巣がんを発症していない方では完全自費になることがありますが、次の対応には強い根拠があります。

・遺伝カウンセリング

・確定のための遺伝子検査

・必要に応じた予防切除

反対に、採血、尿検査、腫瘍マーカー、PETなどを、無症状の方の婦人科がんスクリーニングとして行うことは勧めにくいです。

治療だけでなく、予防もしっかり公費の対象にしてほしいですね。遺伝性腫瘍が決して少なくないこともわかってきています。

BRCA変異は前立腺がんのリスクにも関係しますが、泌尿器科でも未発症者の検査は自費です。前立腺がんは患者数が多く、比較的予後のよいものも多いため、予防目的でどこまで検査を行うかという問題があります。

費用対効果を考えると、PSA検査が妥当なところだと思います。ただし、超高齢者まで一律に検査すべきかは意見が分かれます。

前立腺がんもBRCA変異がある方のほうが予後がよいのかと思っていました。卵巣がんでも、BRCA変異がある群は相対的に予後がよいとされる面がありますが、進行期で見つかることが多く、卵巣がんの中で予後がよいといっても致死的になり得ます。

卵巣・卵管の予防切除は、経済的な面でも、死亡率を下げるという面でも根拠があるため、対象となる方には受けていただきたいところです。それでも、予防医療であるため自費診療になる場合があることが課題です。

結局、自費だから受けない、保険だから受けるという二択ではなく、根拠のある検査や治療を、適切な集団に届けることが重要なのでしょうね。ただ、それを詳しく説明する時間が十分にないことも大きな問題です。

前立腺がんでは、BRCA変異があると、むしろ予後が悪い傾向があります。一方で、BRCA変異を標的とする治療があるため、治療の選択肢は増えました。

前立腺がんは地域検診に含まれていることが多く、卵巣がんや卵管がんとは性質が異なります。私は、85歳以上を一つの目安として、PSA測定を終了してもよいのではないかと考えています。

疾患によって全く違うのですね。やはり、がん検査を一括りにして考えるべきではないと実感します。

遺伝子検査は、自由診療かどうかより、どれだけ根拠があるかで考えるべきだと思います。

たとえばLynch症候群のような遺伝性腫瘍では、疑うべき家族歴や病歴がある方に対して遺伝子の評価を行う意義は大きいです。ただし、未発症の方が予防や早期発見を目的に調べる場合、基本的には自由診療になります。

このようなケースは、「自由診療だから怪しい」のではなく、リスクが高い方にとって検討する意義のある自由診療です。一方、自由診療の検査は気軽に受けるものではありません。専門機関で、遺伝に詳しい医師から説明を受け、専門外来で検査を検討する形が望ましいと思います。

よく広告で見かける「血液一滴でがんがわかる」「尿だけで全身のがんがわかる」といった検査は、少なくとも現時点では、消化器がんの予防や早期発見の観点から慎重に考える必要があります。

何かを指摘された後に必要になるのは、内視鏡、CT、MRI、エコーなどの画像検査や、場合によっては病理検査です。自由診療にも意義のあるものはありますが、それは「何となく全身を調べる検査」ではなく、遺伝性腫瘍のように対象が明確で、次の対応まで含めて根拠があるものだと思います。

——では、自由診療のがん検査として関心の高いPET検査はどうでしょうか。「全身を一度に調べられる」というイメージがありますが、無症状の方のスクリーニングとして、どこまで期待できるのでしょうか。

一般的なPETは、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんのいずれも描出が得意ではないため、泌尿器科領域ではメリットが少ないと思います。

最近は、前立腺がんの転移検索にPSMA-PETを使うことが増えています。スクリーニングにも有用かもしれませんが、自費では100万円近くかかることもあるのではないでしょうか。MRIやPSA採血で十分な場合が多く、費用対効果はよくないと思います。

婦人科領域でもPETは子宮や卵巣の評価を得意としていません。子宮や卵巣には生理的な集積があるため、光って見えることがあり、判別が難しいです。

膀胱も光って見えますね。

消化器の立場から見ても、PETは無症状の方の早期発見を目的とするスクリーニングより、すでにがんが疑われている方の全身評価に向いた検査だと思います。

早期の胃がんや大腸がんはPETで拾いにくいことがあり、反対に炎症でも集積することがあります。スクリーニングとして過度に期待するのは難しいです。

PETが力を発揮しやすいのは、次のような場面です。

【消化器領域でPET検査が有用なとき】

がんが疑われているとき

転移の有無を調べたいとき

再発を確認したいとき

治療効果を評価したいとき

大腸がんで術前化学療法を行うと、PETの集積が大きく低下することも経験します。「全身を一度に見られるから安心」という検査ではなく、使う場面を選ぶ検査という印象です。

無症状の方から「自費で何か一つ受けるならPETが最もよいですか」と聞かれたら、私はかなり慎重に答えます。リンパ腫のようにPETが役立ちやすい病気もありますが、一般的ながんスクリーニングとしては、期待しすぎないほうがよいと思います。

少なくとも、無症状の一般の方に対するがん検診という意味では、自由診療のがん検査が、通常の推奨がん検診を明確に上回るケースは、現時点ではかなり限られるという理解でよさそうです。

一方、遺伝性腫瘍のように対象が明確で、次の対応まで含めて意義のある自由診療もあります。PETのように、スクリーニングには向かなくても、病期診断、再発、治療効果判定で力を発揮する検査もあります。

自由診療だから優れている、自由診療だからだめという単純な話ではなく、根拠と対象を見て使い分けることが大切だと思います。

「自由診療のがん検査は、通常のがん検診より優れている?」のまとめ

  • 自由診療かどうかと、検査の有効性は別の問題
  • 根拠、対象者、検査後の対応まで確認する
  • PETは万能な検診ではなく、使う場面を選ぶ検査

自由診療のがん検査で起こりうる落とし穴

——自由診療のがん検査による弊害について教えてください

自由診療のがん検査には一定の意義があるものもありますが、一般の方には、「高い検査だから安心」「全身を一度に調べられるなら効率的」「早く見つけられるなら受けたほうが得」と受け止められやすい面があります。

しかし、検査には必ず限界があります。

異常が出ても、がんとは限らない

異常がなくても、がんを否定しきれない

見つけなくてもよいものまで見つけることがある

国立がん研究センターも、がん検診には偽陽性、偽陰性、過剰診断、偶発症などの不利益があると説明しています。

先生方が外来で、「その受け止め方は危ない」「その検査が、かえって不安や遠回りにつながっている」と感じる場面について教えてください。

産婦人科の立場から端的にいうと、卵巣がんを早く見つけたいという理由でCA125だけを測定してくる方は、典型的なケースです。

CA125は、子宮内膜症、子宮筋腫、月経、妊娠、骨盤内炎症、肝疾患などでも上昇します。反対に、早期卵巣がんでは正常範囲のことも珍しくありません。

UKCTOCS試験という約20万人規模のランダム化比較試験でも、CA125と経腟超音波を組み合わせた卵巣がんスクリーニングは、死亡率を有意に低下させなかったと結論づけられています。そのため、無症状の方に対する卵巣がんスクリーニングは、国際的にも推奨されていません。

それでも「数値が上がった」という理由で紹介されると、医療側はMRI、繰り返しの採血、場合によっては腹腔鏡まで含めて精査せざるを得ません。「異常なし」という結論に至るまで数か月かかり、その間、患者さんは不安を抱えて過ごすことになります。これが、偽陽性による害だと思います。

泌尿器科ではPSAが典型的です。

前立腺炎、前立腺肥大、射精後などでもPSAは上がります。反対に、神経内分泌がんのような悪性度の高い前立腺がんでは、PSAがそれほど高くならないこともあります。

「PSAが少し高い=すぐ危険」と受け止めると、不必要な不安や過剰検査につながります。医療者側も、患者さんが強く希望すれば検査を行わざるを得ない面があります。

さらに前立腺がんには、一生進行しないものもあります。自由診療の検査で小さな病変を見つけた結果、「見つけなくても困らなかったがん」に対して手術や放射線治療を行い、その後、尿失禁や性機能障害に悩むケースがあります。

また、泌尿器科がんには、PETが得意とするものが少なく、腎がんや膀胱がんには有用な腫瘍マーカーがありません。「人間ドックで腫瘍マーカーを測り、PETも受けたから心配ない」とは言い切れません。

前立腺肥大が原因である可能性が高いPSA高値に対して、毎回画像精査を求められると、医療資源や社会保障費の負担にもつながります。このような仕組みに医療者側が加担している面もあると思います。実際、腎血管筋脂肪腫と確定している方が、毎年精査目的で紹介されてきて困った経験もあります。

一般の方に説明し、理解してもらうのは非常に難しいですよね。「検査は、多く受ければ受けるほどよい」というイメージは根強いと思います。

私は消化器外来でエコーも自分で行いますが、CA125やPSAが高く、自分で見た範囲では異常がなくても、婦人科や泌尿器科へ紹介します。「数値が上がった」という理由だけでは、紹介しないほうがよいのでしょうか。

結局、責任を分けて考える意味でも、紹介していただくしかないと思います。

反対に、地域検診でPSAが100あっても、「病院に行ってください」という通知だけで終わり、本人が受診しないケースがあります。それも困るところです。

数値が高い場合に紹介すること自体は、何の問題もないと思います。何らかの対応は起こさざるを得ません。

問題は、「誰に測るのか」です。手当たり次第にスクリーニングとして測定することに問題を感じます。

PSAやCA125が高く、専門家から見て偽陽性の可能性が高い患者さんに、多くの医療資源を割かざるを得ないことが問題なのですね。

ただ、相談に来た患者さんに、「がんではない可能性が高いので、あまり検査はしません」と伝えて納得していただくのも難しいと思います。どこまで検査を行い、どのように説明するかは、医師個人の会話力にも左右されるのでしょうか。

一般の方は、腫瘍マーカーを「がんの存在を証明する検査」と捉えがちです。一方、医師側は、主に「治療効果や再発を評価するための検査」と捉えています。この、検査そのものに対する認識の違いが大きな問題なのかもしれません。

一般の方が最も知りたいのは、「どうすれば早期発見できるのか」だと思います。しかし、今のところ、「これを受けておけば大丈夫」と一言でいえる検査はありません

自由診療の中には「あらゆるがんがわかる」とうたうものがありますが、受ける方に「これさえやれば大丈夫」と誤解させる伝え方が問題なのだと思います。

——各診療科では、がんの早期発見のために何を勧めていますか。

消化器では、胃がんと大腸がんに対して上部・下部内視鏡を勧めます。肝臓や胆のうにはエコーを用います。膵臓は早期発見が難しく、どうしても調べるなら人間ドックでCTを検討すると伝えています。

泌尿器がんについては、PSAとエコーだと思います。

PSAが少し高くても、高値のまま安定している場合は問題にならないことがあります。低侵襲で、血流も評価できるエコーは、スクリーニング検査として優れているのではないでしょうか。ただし、技師の技量に左右されます。

婦人科では、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんで考え方が異なります。

子宮頸がんについては、定期的に検診を受けるよう伝えています。

子宮体がんには明確な早期発見の検査がないため、エコー付きの検診、または出血があれば速やかに受診するよう勧めます。予防の観点では、無月経を放置しないことも伝えています。

卵巣がんは、残念ながら早期発見が難しいがんです。ただし、乳がんや卵巣がんの濃厚な家族歴がある場合には、遺伝子検査を提案することがあります。

ここまでで、偽陽性による不安や過剰精査の問題は見えてきました。一方、自由診療の検査には、「異常なしだから大丈夫」と安心してしまう落とし穴もあります。

CA125やPSAが正常だったことで安心し、結果として受診や診断が遅れることはありますか。

前立腺がんでは、「陰性だから安心してしまい、診断が遅れる」というケースは、あまり経験しません。

前立腺がんは進行が遅いことが多く、毎年検査を受けている限り、一気に進行することは通常ありません。神経内分泌がんのようにPSAが上昇しないタイプもありますが、検診で拾い上げること自体が難しいと思います。

陰性の方は婦人科に紹介されてこないため、検診施設でどのように説明されているかは少し心配です。

婦人科では、腫瘍マーカーが役立たない腫瘍のほうが多い印象があります。そのため、「正常だから、がんがないとは限らない」という点は必ず伝えています。

このテーマで最も大きな問題は、医師は「万能な検査はない」と理解している一方、一般の方は、がんを早期診断する「聖杯」のような検査がどこかにあるのではないかと期待してしまう点だと思います。

外来でも、がんが見つかった患者さんから「毎年検査を受けていたのに、どうして」と言われることがあります。

自由診療は高額である分、「高い=精度が高い」「これを受ければ安心」と受け止められやすいです。しかし、公的検診でも自由診療でも、「これ一つで安心」という検査はありません。

大切なのは万能な検査を探すことではなく、その検査で何がわかり、何がわからないのかを理解し、根拠のある検査を適切に受けることです。それを一般の方へ伝えることが、私たち医療者の役割なのだと思います。

「自由診療のがん検査で起こりうる落とし穴」のまとめ

  • 偽陽性は、不安や過剰検査、医療資源の負担につながる
  • 異常なしでも、すべてのがんを否定できるわけではない
  • 「これ一つで安心」という万能な検査は存在しない

結局どう調べる?後悔しないがん検査の選び方

——ではがん検査はどのように選んだらよいのでしょうか?

万能な検査がない以上、大切なのは「すごい検査」を探すことではなく、自分に合った根拠のある検査を、適切なタイミングで受けることです。

消化器の観点では、胃カメラと大腸カメラです。

集団検診では胃のバリウム検査がありますが、早期がんが見つかりにくいことや、バリウムによる大腸穿孔のリスクがあることから、私は胃カメラによる早期発見を重視しています。特にピロリ菌感染の既往がある方には、毎年の検査が望ましいと考えています。

大腸がんには、集団検診として便潜血検査があります。ただし、早期がんを見つける精度は内視鏡より劣るため、大腸カメラが望ましいと考えます。

胃がんも大腸がんも、早期であれば内視鏡で切除できることがあります。手術が必要な場合でも、早期であれば完治が望めるケースが多いです。

まず受けてほしいのは、子宮頸がん検診です。対策型検診として、死亡率を下げる効果が明確に示されている数少ないがん検診の一つです。20歳を過ぎたら2年に1回、HPVワクチンと合わせて、産婦人科医が自信を持って「受けてください」といえる検査です。

一方、誤解しやすいのは卵巣がんと子宮体がんです。子宮頸がん検診を受けているから婦人科のがんはすべて大丈夫だと思われがちですが、頸がん検診では子宮体がんも卵巣がんも見つかりません。

特に卵巣がんでは、CA125の採血や超音波で無症状の方を調べても、死亡率を下げられなかったという結果があります。現時点では、「有効性が確立したスクリーニング検査がない」がんです。

前立腺がんには検診ガイドラインがあります。大まかには、次のように考えられています。

住民検診では、50歳以上を対象年齢とする

人間ドックなどの任意型検診では、40歳代からPSAの基礎値を測定する

若い時期に基礎値を知ることが重要です。反対に、若年時のPSAに問題がなければ、その後は数年おきのフォローでもよいと思います。

高齢者の早期がんは、がんより先に寿命を迎える可能性もあるため、何もしなくてよいという考え方もあります。米国泌尿器科学会では、70〜75歳以降は測定不要とする報告もあります。ただし、人種によって病勢が異なるため、日本でそのまま当てはまるとは限りません。

一方で、90歳の方まで毎年PSAを測定する臨床的な意味は大きくないと思います。検査を行うのであれば、結果をどのように解釈し、次に何をするのかまで考える必要があります。

腎臓がんは、健診で偶然見つかることが増えました。肝臓、胆のう、膵臓のスクリーニングに含まれるエコーは、身体への負担が少なく、費用対効果もよいと思います。

一方、膀胱などの骨盤腔は、健診の腹部エコーに含まれないことがあります。検査時間が長くなり、蓄尿を待つ手間もありますが、できれば包括的に見てほしいところです。

健康診断の尿検査は、試験紙による検査だけのことが多く、尿沈渣まで行う施設は少数です。尿沈渣で異型細胞まで拾うことも多くありません。尿細胞診で検出できる尿路上皮がんも60%程度で、全員に尿細胞診を行えばマンパワーが不足します。

将来、AIなどによって検査コストが下がれば、身体への負担が少ない尿検査への期待はさらに高まるかもしれません。

HPVワクチンの積極的勧奨が再開されたのは2022年ですが、HPVワクチンによる免疫は終生続くのでしょうか。個人差はあると思いますが、将来的に子宮頸がんが過去のがんになればよいですね。

終生免疫かどうかは、まだ議論がありますが、おそらく非常に長期に続くといわれています。

男女ともに定期接種を行っているオーストラリアなどでは、子宮頸がん撲滅のシミュレーションもあります。日本も早く追いついてほしいところです。

卵巣がんは本当に難しいですね。先日、腹痛で飛び込み受診された方の下腹部をエコーで確認したところ、腹膜播種と少量の腹水を伴う卵巣がんが疑われました。

その方は、別のクリニックで半年前にエコーを受けたと話していましたが、消化器クリニックだったため、下腹部までは見ていなかった可能性があります。

消化器では、膵がんもスクリーニング検査がなく、非常に難しいがんです。注意してエコーを行っても、膵臓の一部分しか見えない方が多く、体格が大きいとほとんど観察できません。手術で救える段階の膵がんを見つけられる確率は、非常に低いと感じます。

腹痛や腹水は、典型的な卵巣がんの初発症状の一つですね。卵巣がんは急速に進行することがあるため、半年前の検査後に進んだ可能性もありそうです。

各診療科に、スクリーニングが難しいがんがありますね。

PSAが40歳代から推奨されることは、私自身も勉強になりました。47歳ですが、まだ測定したことがないので、一度確認してみようと思います。

内科医がPSAを測定するのは、患者さんから希望されることが多いという事情もあります。異常値が出れば、非専門医としては専門医へ紹介せざるを得ません。専門的な解釈まで非専門医に求めるのは難しい面もあると思います。

上腹部エコーでは腎臓も確認するため、私も漏れなく見ています。ただ、1日に10件近くエコーを行うことがあっても、腎臓がんを自分で発見した経験はまだありません。

尿沈渣は有用だと思いますが、集団検診に組み込むと、マンパワーやコストの面で難しいのでしょう。今後、AIによる病理・画像診断が一般化すれば、改善するかもしれません。スクリーニングへのAI活用には現実味があると思います。

——無症状で、家族歴も特にない40〜50代の方が、「何か一つだけ追加で受けるなら何を優先すべきか」「何には期待しすぎないほうがよいか」と聞いた場合、どう答えますか。

私はエコー検査を挙げます。

40〜50代で前立腺がんにかかっている可能性は高くありませんが、エコーでは腎臓、尿管、膀胱、前立腺など、多くの部位を調べることができます。

PSAは、基礎値を知る意味で一度測定するのはよいと思います。基準値内であれば、その後は2〜3年ごとでも十分だと考えます。

産婦人科の観点では、繰り返しになりますが、確立された検診は子宮頸がん検診です。初めての性交渉以降、生涯にわたって受けてほしいと考えています。

何かを加えるのであれば、細胞診にHPV検査を組み合わせる併用検診を勧めます。

期待しすぎないほうがよい検査は、その他の腫瘍マーカーや、子宮体がん・卵巣がんのスクリーニング検査です。

——「この症状があれば、検診や自由診療の検査より先に受診してほしい」というサインはありますか?

消化器ではやはり血便です。

また、消化器領域ではありませんが、30歳以上の女性には、毎月1回、乳房の自己触診を行うよう伝えています。しこりがあっても慌てず、2か月たっても変化なく残る場合は受診するよう説明しています。

婦人科で最も見逃してほしくないサインは、不正出血です。「いつもの生理以外の出血は、すべて不正出血」と伝えています。

「これも出血に入るのだろうか」と迷う程度でも、「いつもと違う」と感じたら受診を勧めます。特に閉経後の出血は、ごく少量でも、一度だけでも、必ず受診してほしいです。

もう一つ挙げたいのが、「出ない」ほうの異常です。3か月以上、生理が来ない状態を、「楽だから」と放置する方もいますが、子宮体がんのリスクにつながることがあります。

卵巣がんは症状が乏しいのが実情です。お腹の張りが続く、ウエストがきつくなった、少し食べただけで満腹になるといったサインはありますが、かえって不安を強くする可能性があるため、私は積極的には伝えていません。

「出ない」こともリスクになるのですね。勉強になります。

テーマの趣旨とは少し異なりますが、私は腹部エコーの際に、できるだけ子宮も観察しています。子宮筋腫がある方は非常に多いのですが、単なる筋腫とせず、婦人科受診を強く勧めたほうがよい所見はありますか。

閉経前か閉経後かで分けて考えます。

・閉経前・閉経後を問わず、紹介を勧める所見

・初めて指摘されたもの

・閉経前・閉経後を問わず、紹介を強く勧める所見

・内部エコーが不均一

・辺縁が不整、または境界が不明瞭

・カラードプラで、中心部へ流入する不整な血流がある

・不正出血がある

・閉経後に紹介を強く勧める所見

・新しく出現したもの

・大きくなっているもの

反対に、以前から指摘され、閉経後も大きさが変わらないものは、経過を見られることがあります。

未閉経の方では、閉経までは大きくなる可能性があるため、6か月に1回程度のフォローを勧めます。

注意したいのは、「実は筋腫ではない」ケースです。有茎性漿膜下筋腫と充実性卵巣腫瘍は、婦人科医でも見分けが難しいことがあります。子宮との連続性を確認する必要があります。

経腹エコーでは全体像が見えにくいことも多いため、迷った場合は婦人科へ紹介していただいて問題ありません。

泌尿器科では、やはり血尿です。

顕微鏡的血尿から腫瘍が見つかる方はほとんどいません。一方、肉眼的血尿では、結石や膀胱炎を含め、対応が必要な原因が約6割にあるといわれています。

無症状の方は、万能な自由診療検査を探すのではなく、年齢、家族歴、性別、既往歴に応じた根拠のある検診を選ぶことが大切です。

一方、血便、不正出血、肉眼的血尿などの症状がある場合は、検診や自由診療の検査を追加するより先に、医療機関を受診する必要があります。

「結局どう調べる?後悔しないがん検査の選び方」のまとめ

  • 年齢、家族歴、症状に合った検査を選ぶ
  • 根拠のある検診を優先し、万能検査を探さない
  • 血便、不正出血、肉眼的血尿は受診を優先する

座談会まとめ

今回の座談会では、「自由診療のがん検査の精度は?弊害はある?早期発見が可能な検査法は?」という読者さんの疑問を徹底的に掘り下げました。座談会のまとめはこちらです

血液・尿検査は診断の一部
瘍マーカーなどは、がんを疑う手がかりや、治療後の経過を見るために役立つことがあります。ただし、単独でがんの有無を確定する検査ではありません。

自由診療かどうかだけで判断しない
自由診療にも、遺伝性腫瘍の検査など、対象が明確で根拠のあるものがあります。価格ではなく、根拠、対象者、検査後の対応を確認することが重要です。

検査には不利益もある
偽陽性による不安や過剰精査、偽陰性による過度な安心、見つけなくてもよいがんを見つける過剰診断など、検査には不利益もあります。

がんの種類ごとに適した方法が違う
内視鏡が役立つがん、腫瘍マーカーが補助になるがん、有効なスクリーニングが確立していないがんがあります。一つの検査で全身のがんを網羅することはできません。

症状があれば受診を優先する
血便、不正出血、肉眼的血尿などの症状がある場合は、検診や自由診療の検査で様子を見るのではなく、医療機関への受診を優先する必要があります。

AIMEDではこのような読者さんの疑問に対して、医師3名が徹底的に討論いたします。皆様も普段の暮らしのなかで気になったこと、病院で医師に聞きにくいことなどがございましたら、お気軽にご質問ください!

1.『腫瘍マーカー検査』(国立がん研究センター がん情報サービス)

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