マルチビタミンの効果とは?長生きできるって本当?

マルチビタミンの効果とは?長生きできるって本当?

監修

村上 友太 医師

村上 友太 医師

【経歴】 医師、医学博士。 福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は神宮前統合医療クリニックなどで脳機能向上、認知症予防を中心に診療している。
【資格・所属】 日本脳神経外科学会専門医 日本脳卒中学会専門医 日本抗加齢医学会専門医 日本健康経営専門医

イントロダクション

 

今回のAIMED座談会のテーマはマルチビタミンサプリです。

「マルチビタミンサプリって身体によさそうだけどどんな効果があるの?」

「マルチビタミンサプリで長生きできるって聞いたけど本当?」

読者さんから寄せられたこのような質問を、医師3名で深掘りします。マルチビタミンサプリの効果や健康被害、選び方までを丁寧に解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね!

【参加医師の自己紹介】

Melon先生@消化器外科
外科医として20年以上のキャリアを有し、勤務先ではNST(栄養サポートチーム)にも関与している。臨床現場での栄養管理の視点からサプリメントにも関心を持つ。

ひろたん先生@整形外科
2017年医師免許取得の整形外科医。趣味レベルでサプリメントを幅広く試しており、実体験も踏まえた視点で栄養補助としてのマルチビタミンを捉えている。

CK先生@代謝内分泌内科
2009年医師免許取得。。クリニックで糖尿病・内分泌診療に従事。日常診療での経験を背景に、サプリメントの位置づけや安全性について臨床的観点から発言。

マルチビタミンサプリとは?

——先生たちは日頃からどのようにビタミンサプリとお付き合いしていますか?

私自身、エビデンスの有無は一旦おいておき、趣味レベルでサプリが好きで色々試しています。

マルチビタミンサプリについては、「食事で足りない部分をカバーする補助的な存在」だと考えています。普通の生活でビタミンやミネラルを網羅的に摂取するのは至難の業なので、そこを補うための心強い味方、というイメージです。

私自身はビタミン系のサプリを飲んだり飲まなかったりですが、マルチビタミンはひろたん先生と同様食事で不足する分を補うというイメージです。

——マルチビタミンサプリにはどのような成分が含まれているのでしょうか?

マルチビタミンというからには複数のビタミンが含まれているわけですが、特に決まりはないですよね。イメージとしてはBやCが水溶性ということもあり、脂溶性ビタミンよりは安全と思われ、大抵のマルチビタミンサプリに含まれているイメージです。

おっしゃる通り、マルチビタミンといっても配合に厳密な決まりはないですよね。私が活用しているものにも水溶性と脂溶性の両方が含まれていますが、脂溶性ビタミンは過剰症のリスクがあるため、含有量は水溶性のものに比べて控えめに調整されている印象です。加えて私が使用しているものはファイトケミカル類が配合されています。ただ、これらに関しては「サプリメントの形で摂取してどこまで有用なのか」という点については、確信が持てない部分もあります。もちろん、栄養は食事から自然な形で摂るに越したことはないと考えていますが、多忙な中での補助的な選択肢として、成分のバランスを確認しながら取り入れています。

ビタミンB群やCは含まれているマルチビタミンが多い印象です。ほかにも、例えばミネラルやコエンザイムQ10、アミノ酸などが一緒に配合されているものもあります。吸収効率に配慮されているもの、幅広い栄養素をカバーするものなど、ものによって結構違いがあるように思います。

複数のビタミンが入っているのは便利ですよね。さらに、厳密な意味でのビタミンではない幅広い栄養素が含まれているものもあるので、「マルチビタミンサプリ」といっても内容をよく吟味する必要がありますね。おそらくどれだけ含まれているかも本当は気にした方が良さそうです。

「マルチビタミンサプリとは?」のまとめ

  • マルチビタミンは「食事で不足する栄養素を補う補助的存在」であり、主役はあくまで食事
  • 配合成分に明確な定義はなく、水溶性・脂溶性・ミネラルなど多様であるため、成分内容の確認が前提
  • 脂溶性ビタミンは過剰リスクがあるため、水溶性中心で設計される傾向があり、含有量のバランス設計が重要

実証されているマルチビタミンサプリの効果

——マルチビタミンサプリの効果について、実証されているものって何かありますでしょうか?

「マルチ」という制限があると少し難しいかもしれませんがいかがでしょうか?それぞれのビタミンに効果はあるはずですものね。

それぞれのビタミンという事で、ビタミンDについては実証されていることがいくつかあるかと思います。ビタミンDの充足はサルコペニアの予防や、神経筋機能の改善を通じた高齢者の転倒リスク低減に寄与しますし、骨の石灰化を助けることで骨粗鬆症予防になります。また、ビタミンD不足がコロナなどのウイルス感染症の重症化リスクになるという話もあり、ビタミンDを不足させない事はメリットが大きいと思っています。

外来で骨粗鬆症のスクリーニングとして血中ビタミンD濃度を測定してみると、驚くほど多くの方が欠乏・不足状態にあります。日照時間の問題や食生活もあり、日常生活だけで十分量を維持するのは難しいのだろうと想像しています。一方で、過剰摂取は高カルシウム血症などのリスクになるので、不足分を補う程度の摂取がいいのではないかと思います。

ビタミンDは私も気になってました。解説ありがとうございます。ビタミンDがほかのビタミンとセットになっていることもありますか?

ビタミンDとセットになっているものに関しては、ほかのビタミンではないですが、オメガ3系などの脂質と一緒に配合されているものがあります。ビタミンDは脂溶性で脂質と一緒に摂ると吸収効率が上がりますので、吸収に配慮されているのだと思います。

私もビタミンD過剰で高カルシウム血症や腎機能障害となった患者さんの診療経験があります。ひろたん先生のご指摘の通り、過剰にならないよう気にしつつ使っていただくのがよいかと思います。

——マルチビタミン全体での効果を示すエビデンスはあるのでしょうか?

マルチビタミンの効果については、2026年3月のNatureMedicineの報告で、高齢者がマルチビタミン・ミネラルを2年間摂取し生物学的老化の進行が遅くなる傾向が認められたというものがあります(COSMOS試験)。もちろんこれだけで老化を止められるというものではありませんが、普段の食事・運動にプラスすることで老化の進み方に影響する可能性があるかもしれません。

ちなみに、このCOSMOS試験で使用されたのはマルチビタミン・ミネラルのサプリメントで、ビタミンA・B群・C・D・E・Kの他に、ミネラル群としてカルシウム・マグネシウム・亜鉛や微量元素と、ルテインやリコピンも含まれているようです。

参考:NatureMedicine(COSMOS試験)

詳しく教えてくださってありがとうございます!どの成分が効いたかはわからないですが、食事同様、色々バランスよく摂取することが大事ということでしょうか。

大変勉強になります!そういった意味では、いろんなビタミン、場合によってはミネラルも幅広くとれるマルチビタミンサプリは、手軽に取り入れられてやりやすそうですね。どれかの成分が効果でてくれたらいいかな、という立ち位置がよさそうです。

一方で特定の成分が過剰にならないよう、複数のマルチビタミンサプリを飲むというのは注意した方が良さそうですね。少なくとも成分が重複していないか確認する必要がありそうです。

——マルチビタミンには美容面でも効果が期待できますか?

マルチビタミンサプリの中には美容を期待したものもありますよね。ビタミンCやEなど。抗酸化作用があるのである程度のエビデンスはあるのかなと思います。美容皮膚科などではビタミンCやEは内服薬として処方されることもありますし(自由診療)。もちろんサプリだと含有量が少ないでしょうし医薬品ほどの効果は期待できないと思いますが。

確かに、美容目的のビタミンサプリメントも多いですよね。ビタミンCのコラーゲンサポートや、ビタミンEの血流改善による肌代謝への寄与など、抗酸化以外にもメリットは多いです。ただ、個人的には『上乗せでどんどん積み上げる』というよりは、欠乏や不足を埋めて『マイナスをゼロにし、本来のパフォーマンスを発揮させる』といったイメージで捉えています。足りない部分が満たされることで、結果的に肌の状態も底上げされる、という理解でおります。

「実証されているマルチビタミンサプリの効果」のまとめ

  • マルチビタミン単体の効果は限定的だが、ビタミンDなど個別成分には明確なエビデンスが存在する
  • 老化抑制に関する研究はあるが、単独効果ではなく食事・運動と組み合わせた総合効果と解釈すべき
  • 本質は「不足補填」であり、健康状態の底上げを目的とするもので、上乗せ効果を期待しすぎるべきではない

マルチビタミンサプリで健康被害は生じる?

——マルチビタミンサプリには弊害もあるのでしょうか?

水溶性ビタミンについてもいくつか留意点があります。まず短期的には、一度に大量摂取することで消化器に負担がかかり、下痢や腹痛を引き起こすリスクがあります。また、長期的な観点では、ビタミンCの過剰摂取が尿路結石のリスクを高めるという報告もあります。

これは代謝産物であるシュウ酸がカルシウムと結合して石ができるためですが、極端に恐れる必要はなく、1日1,000mg以上の高用量を数年以上継続して初めてリスクが有意に上がるといったレベルのようです。ですので、「水溶性だからいくら摂っても無害」と過信せず、やはり適切な量を継続することが、美容と健康のバランスを取る上で重要だと感じています。

妊婦さんはビタミンAの過剰摂取に注意、というのもありますね。逆に葉酸のサプリはむしろ良さそうです。このように属性ごとの注意みたいなもの、他にもありそうです。喫煙者はビタミンAを大量に摂ると肺癌のリスクを高めるかもしれないので、そこも注意ですね。

ビタミンB6も水溶性ビタミンではありますが、過剰摂取に注意が必要です。ビタミンB6の過剰摂取が長期間続くと、手足のしびれや感覚異常など末梢神経障害を起こすことがあります。厚生労働省から発表されている2025年版の「日本人の食事摂取基準」でも耐容上限量が設定されています。

ひろたん先生からお話があったビタミンCについてもこちらの食事摂取基準で触れられており、嘔気・下痢などの胃腸障害や、腎機能障害があるケースで過剰摂取によりシュウ酸結石のリスクが高まるといわれています。

それから、健康被害とは少し異なるかもしれませんが、ワーファリンを服用されている方はビタミンKを多く摂取すると薬の効果が弱くなってしまいます。普段お薬を飲まれている方は、サプリメントと併用して問題ないのかも気にしていただくとよいかと思います。

マルチビタミンサプリは色々なビタミンを気楽に摂れるイメージですが、何が含まれているかをしっかり吟味する必要がありますね。

——ビタミンは無害なイメージでしたが使用量や薬との飲み合わせなどの注意点があるのですね!

「マルチビタミンサプリで健康被害は生じる?」のまとめ

  • 脂溶性ビタミンは蓄積により過剰症を起こしやすく、高カルシウム血症や神経障害などのリスクがある。
  • 水溶性でも高用量では消化器症状や結石などの有害事象があり、「安全」という認識は誤りである。
  • 薬剤相互作用や周術期リスクなど、患者背景によって注意点が大きく異なるため個別評価が必要である。

マルチビタミンの選び方

——マルチビタミンはどのように選べばよいのでしょうか?

過剰摂取になるくらいなら不足している方がまだ安全と考えます。長期使用では特に吟味が必要です。

複数のサプリを併用する場合は、成分が重複していないかを注意することでしょうか。またCK先生やMelon先生のお話にもあったとおり、自分の既往歴や服薬歴、状況に合わせて、避けるべき成分を把握した上で選ぶのが理想的かと思います。品質面では、GMP認定が一つの目安になります。これは外部機関が製造工程をチェックしている証で、品質の一定の担保にはなります。ただ、あくまで「正しく作られているか」の基準であって、「効果があるか」を保証するものではない、という点は整理しておく必要があります。

マルチビタミンの利点は多くの成分が含まれていることですので、特定の成分を多く摂るよりも多くの成分がバランスよく含まれているものの方が、老化抑制の観点でメリットとなる可能性があります。それから、個人的にはマルチビタミンは魔法の薬ではなく、あくまで栄養の底上げと捉えています。「これを飲んでいるから食事は気にしなくてもよい」というものではなく、普段の食事で不足しがちな栄養素を埋めるものとして活用いただくとよいのではないかと思います。

CK先生のおっしゃる通りだと思います。炭水化物・タンパク質・脂質はサプリでは補えないので、あくまで食事がベースですよね。

服用回数や錠数というのもサプリメント選びの1つの基準になるかと思います。水溶性ビタミンはたくさん摂っても尿から排泄されてしまうので、1回でまとめてよりも回数を分けることがすすめられています。一言でマルチビタミンサプリメントといっても、1日1回でよいもの、1日3回摂取が必要なもの、1粒でよいもの、1日合計10粒以上必要なもの、など種類によって飲む回数や粒の量が大きく異なります。普段の診療や自分自身の経験も踏まえての話にはなりますが、1日3回毎日忘れずに飲み続けるというのはなかなか大変です。せっかく服用するからには確実に指示量を摂れる方がよいので、それぞれのライフスタイルにあわせて飲みやすいものを選ぶという視点も持っていただくとよいと感じました。

はい。先生方のおっしゃるような飲み方をするためには、まずサプリの説明文にはちゃんと目を通す必要がありますね。どんな成分がどれだけ入っているか、どんな注意事項があるかなど、自分の責任で飲む以上、きちんと確認する必要があります。

——GMP認定が一つの目安になるとのことですが、サプリのパッケージに書いてあるものなのでしょうか?

GMPは、サプリのパッケージには記載がないことも多く、ネット購入の場合はセールスページに書かれていることがあります。もし見当たらない場合は、製造元の公式サイトで確認するのが確実かと思います。身体に入れるものなので、一手間かけて確認する意識は大切だと思います。

——そのうえでどのようにサプリを選べばよいでしょうか?たくさんありすぎて選びにくいのです。

サプリの選び方については、個人的にはマルチビタミン&ミネラルを1つに絞り、成分の重複を避けるようにしています。複数のサプリを併用すると、知らないうちに過剰摂取になる可能性があるためです。長期服用でのリスクがゼロとは言えませんが、基礎疾患や内服がなく、健診でも問題がないため、現時点ではベネフィットの方が上回ると考えて継続しています。サプリはあくまで補助という位置づけで、状況に応じて見直すことが大切だと思います。

年齢・性別などで栄養素が強化されているものもあります。例えば50代以降向け、男性向け、女性向け……などです。それぞれのお悩みによって選ぶというのも一つの方法になるかもしれません。

——1日のビタミン類の必要量はどのように把握すればよいのですか?

必要量については、サプリメントの必要量とは少し異なりますが日本人の食事摂取基準の中にビタミン毎の推奨量が記載されており、1日量の1つの目安にはなるかと思いました。

ただ、そもそも食事でどのくらい摂れており、サプリメントでどの程度の不足を補うのかの評価はなかなか難しいですよね。手間にはなりますが、細かくみるのであればアプリなどで食事記録をつけて、不足しがちな栄養素と不足の程度を評価してみるのは1つの方法になるかもしれません。

「マルチビタミンの選び方」のまとめ

  • 選択基準は「不足補填」と「過剰回避」であり、複数サプリ併用時は成分重複チェックが必須である。
  • GMPは品質管理の指標であり、安全性の一部担保にはなるが効果を保証するものではない。
  • 服用回数や継続性も重要であり、実生活に適合した設計のものを選ぶことが実用的である。

座談会まとめ

今回の座談会ではマルチビタミンの効果や注意点、選び方を深掘りしました。
各種ビタミンにはさまざまな効果が確認されている一方で過剰摂取や薬との飲み合わせには注意が必要そうですね!

今回の座談会まとめはこちらです。

マルチビタミンの本質は補助:マルチビタミンは不足栄養素を補う補助であり、食事の代替にはならない。食事・運動を基盤とした上で活用することが前提となる。

効果は限定的かつ間接的:個別ビタミンにはエビデンスがあるが、マルチビタミンとしての効果は補助的であり、老化抑制なども単独効果ではない。

過剰摂取リスクの理解が重要:脂溶性ビタミンや高用量摂取は有害事象を引き起こす可能性があり、安全性は用量依存である。

選択は個別最適化が前提:年齢・既往・服薬・生活習慣に応じて適切な製品は異なり、一律の基準ではなく個別判断が必要である。

AIMEDではこのように皆様から寄せられた質問に対して、医師3名が深掘り座談会を実施しています。「これ聞きたい!」という疑問がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ!

1.『日本人の食事摂取基準(2025年版)』(厚生労働省)

2.NatureMedicine(COSMOS試験

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