足に優しいスニーカーの選び方|整形外科医らが実際に履いている靴と注意点

足に優しいスニーカーの選び方|整形外科医らが実際に履いている靴と注意点

監修

大林 正和 医師

大林 正和 医師

2010年京都府立医科大学卒業。救急科専門医、集中治療専門医。
醸造酒と肴をこよなく愛しています、当直と待機が休肝日。

イントロダクション

今回のAIMED座談会のテーマは「スニーカーの種類と選び方」です。

「普段履き、ウォーキング、ランニングでは靴を使い分けた方がよいの?」

「足のトラブルを防ぐには、どこを見て選べばよい?」

「リカバリーサンダルやインソールってどうなの?」

こんな疑問が読者さんから寄せられました。

足と歩行を専門とする整形外科医、足潰瘍や爪のトラブルを診る形成外科医、ウルトラマラソンやトレイルランニングを続ける救急・訪問診療医がとことん語り合いました!

【参加医師の自己紹介】

Gon先生

Dr.Gon先生@整形外科
医師12年目の整形外科医。足と歩行に特化して開業し、足、靴、インソールを日常的に診療している。胼胝や爪の処置に加え、外反母趾、ハンマートゥ、マレットトゥ、クロートゥ、扁平足、変形性足関節症、リウマチ足、シャルコー足、巻き爪・陥入爪などの治療や手術にも携わる。インソールは月120足程度、一人ひとりの足に合わせて採型・オーダーしている。

Rei先生

Dr.Rei先生@形成外科
医師10年目の形成外科医。日々の診療では、爪の変形や足潰瘍の患者を多く診ており、靴の選び方や履き方の重要性を感じている。糖尿病・透析患者の足の傷や、巻き爪・陥入爪などの診療経験が豊富。

バヤシ先生

バヤシ先生@救急・訪問診療
医師17年目。もともとは救急と集中治療を専門とし、現在は救急診療と訪問診療に携わっている。ランニング歴は約10年で、主にウルトラマラソンとトレイルランニングを楽しんでいる。ウルトラマラソンでは最長120km、トレイルランニングでは最長113kmのレースを完走している。

トラブルを防ぐスニーカーの選び方と履き方のポイント

——足のトラブルを避けるために、普段履きのスニーカーはどのような点を見て選べばよいでしょうか?

やはり、自分の足に合った靴を選ぶことが大切です。具体的には、足の幅や、エジプト型・ギリシャ型など足趾の形を確認します。

私自身は足趾がギリシャ型なので、足先が丸いタイプの靴を好んでいます。足幅は狭め、土踏まずは標準からやや扁平足傾向、甲は高くないという特徴があり、このあたりはシューフィッターがいる靴店で計測してもらいました。

靴に関して基本的に見ているのは、次の点です。

・踵が柔らかすぎないか
・足趾を曲げられる程度の余裕があるか
・足の甲を固定でき、高さを調整できるか
・ソールが硬すぎないか
・ソールがどの位置で曲がるか

自分の足の形状や目的にあったものを選ぶのが大事ですね。足の形は人と見比べる機会が少ないですが、自分の足を観察するときには、どのような点を見ればよいでしょうか?

アーチサポートの高さは、扁平足か凹足かによって変わります。

自分で確認する方法としては、次のようなものがあります。

・風呂上がりにバスマットなどへついた足跡を見る
・歩いている様子を動画で撮り、プロネーションを確認する
・靴底のすり減り方と左右差を見る

3D計測では、さまざまな足が扁平足と判定されていることも多い印象です。機械の結果だけで決めず、実際の足や歩行も合わせて見る必要があります。

珪藻土マットなどに残る足跡なら、自宅でも確認しやすそうですね。

プロネーションは、自分では分かりにくいと思います。簡単に確認できる方法はありますか?

フットプリントに加え、Leg heel angleやtoo many toes signなども確認に使えます。

個人で確認するなら、too many toes signは比較的試しやすそうですね。

前足部はメッシュなどの柔らかい素材でも構いませんが、靴のかかと部分に入っている硬い芯材であるヒールカウンターと土踏まず部分の中底に埋め込まれた芯材であるシャンクは、しっかりしているものがよいと思います。

——ほかにも履き方のポイントはありますか?

凹足などで圧迫感が強い方には、靴紐をインアウト、いわゆるアンダーラップで結ぶように伝えています。

私はランニングシューズを普段履きにするときも、毎回シューレースを締め直します。足趾を自由にしたいため、つま先に余裕のある靴を選んでおり、紐を締めないと緩いからです。

脱ぐときに毎回紐を解くように習慣化すると、履くときには自然に締め直すことになります。

患者さんには、毎回靴紐を緩め、踵を合わせてから締め直すように説明しています。

ただ、自分自身は子どもを抱っこしながら靴を履くことも多く、毎回はできていません。生活状況によって、実行しにくい場面があるのも現実です。

——流行しているスリップインシューズは、どのように選べばよいでしょうか?

私自身、ゴム製シューレースのOn Cloud 5を履き始めた頃、楔状骨や舟状骨付近を締め付けられるような、しびれる激痛が出ることがありました。

スリップインにも、ゴム紐のものと、通常の紐で調整できるものがあります。足の状態に合わせて調整できるため、通常の紐の方がよいと思います。

朝と夕方では浮腫みによって足の大きさも変わるため、その都度調整できることが重要です。

妊婦さん、小さい子どもがいる方、肥満の方、変形性股関節症がある方など、靴を履く動作が難しい場合には、紐で調整できるスリップインや、ナイキのフライイーズなどを勧めることがあります。

妻には両方をプレゼントしましたが、重度の外反母趾があるにもかかわらず、ミュールを履いています。いちばん身近に、なかなか指導どおりに履いてくれない人がいます。

フライイーズは試着したことがありますが、慣れるまで着脱に少しコツがいる印象でした。紐で調整できるスリップインも試してみたいです。

——普段履きで、特定のメーカーを推奨することはありますか?

私は、幅の選択肢が多いためニューバランスを勧めることがあります。ただし、万人に合うシューズはないため、一概に「このメーカーがよい」とは言いにくいと思います。

試着時にはよくても、長時間歩いたり立ったりすると違和感が出ることがあります。私もいまだに靴選びには悩み、結局、履き慣れたランニングシューズを普段履きにすることが増えました。

お二人は、仕事中にどのような靴を履いていますか?

典型的なよくない例ですが、仕事ではクロックスを履いています。

処置などで汚染することが多いため、すぐに拭き取れることを優先しています。ただ、クロックスでは足が疲れやすいため、買い替えたいと思っています。

洗いやすさや汚染への対応が必要な職場では、足への適合だけでは選べない事情もありますね。ウォータープルーフのウォーキングシューズも、汚染をどこまで防げるかは分かりませんが、選択肢の一つになるかもしれません。

仕事中は患者さんの靴を確認する立場なので、こちらも足元を見られます。スタッフは全員スニーカーです。

私は12時間以上履き続けることがあり、蒸れにくさを優先してALTRAを履いています。

文字どおり「足元を見られる」わけですね。

子育て中で毎回靴紐を締め直せないこともあり、靴下選びも意識しています。5本指で、足のアーチを支えるタイプをいくつか試しました。

個人の体験ですが、靴下を変えるだけで、足の踏ん張り方が変わる感覚がありました。

妊娠中は、体重のかかり方や歩き方が変わり、同じ靴でも外反母趾が悪化したり、土踏まずが痛くなったりしました。私の場合は、靴下を変えることで改善を感じました。

靴下については、長距離を走るときにR×L EVOをよく履きます。長時間走ってもずれにくく、蒸れも少なく、土踏まずもある程度支えられる感覚があります。普段使いすることもあります。

GOLDWINのC3fitアーチサポートソックスも使いますが、こちらはテーピングで足関節やアーチを固定されているような感覚が強く、競技以外ではきつく感じます。

私は奈良の靴下が個人的に好きですが、普段使いであればユニクロの靴下でも十分だと感じています。

「トラブルを防ぐスニーカーの選び方と履き方のポイント」のまとめ

  • 足幅、足趾の形、甲、踵、ソールを確認する
  • 靴紐は踵を合わせ、足の浮腫みに応じて調整する
  • メーカー名より、自分の足と生活状況への適合が重要

普段履き・ウォーキング・ランニングシューズはどう使い分ける?

——スニーカーにも、普段履き、ウォーキングシューズ、ランニングシューズなどがあります。どのように使い分ければよいでしょうか?

ウォーキングシューズをランニングに使い、足や膝を痛めるケースはよくあります。逆に、ランニングシューズを歩行に使うことは、基本的には問題ないと考えています。

足の病気がある方にも、普段はスニーカーを推奨します。ランニングをする場合は、ランニングシューズを使うように指導します。

ウォーキングとランニングでは動きが違うため、用途に合ったものを使う必要があるということですね。

パンプス、ヒール、革靴は、基本的に長時間歩くための靴ではありません。

嫌がられることもありますが、冠婚葬祭など必要な場面だけで履き、移動中はスニーカーにするよう、繰り返し伝えています。

ウォーキングシューズとランニングシューズでは、靴選びのポイントも変わりますか?

私は、足の病気がある患者さんにウォーキングシューズやランニングシューズを勧めた経験は多くなく、普段履きとしてはスニーカーを勧めてきました。用途別シューズの違いは、私自身も知りたいところです。

選び方のポイントは用途や足の形状に合っていればよいですが、ロッカーボトムを選ぶときには注意が必要です。ロッカーボトムとは靴底がゆりかごのように湾曲しており、自然な体重移動を促す形状のことです。

こうした点は、ウォーキングシューズでもランニングシューズでも共通します。

ロッカーボトムは自然と前へ転がるように進みますね。

ただソールが柔らかく、筋力がないと不安定となって転倒するリスクがあります。

Dr.Rei先生がシューフィッターのいるお店で足形を計測したということですが、シューフィッターはどんな靴をお勧めされるんですか?

フィンコンフォートなどのドイツ靴を勧めるシューフィッターは多い印象です。ただし、重くて高価なことが難点になる場合があります。

ドイツ靴が重いのは、基本的にレザーとコルクを積層したインソールを使い、重さを出してローリングしやすくしているためです。筋肉がある方であればよいのですが、フレイルやサルコペニアがある方には、重さが負担になることがあります。

ドイツには靴マイスターの歴史があり、シューフィッターとのつながりも深いのだと思います。日本製では、アサヒシューズなどが勧められることがあります。

インソールにも違いがあり、ドイツは積層型、アメリカはシェル型が中心です。アメリカの足病医には、「重いドイツ靴を作っても履かなくなるなら、せめて本人が履きたい靴を選び、インソールを入れてもらう」という考え方もあります。

靴の文化やインソールの作り方にも、国による違いがあるのですね。

普段から軽いスニーカーに慣れていると、筋力がある方でも、重い靴を積極的に選びにくいかもしれません。機能だけでなく、実際に継続して履けるかも大切ですね。

「普段履き・ウォーキング・ランニングシューズはどう使い分ける?」のまとめ

  • ウォーキング用をランニングへ流用する際は注意する
  • 長距離の移動にはスニーカーを使い、用途で履き分ける
  • 機能が高くても、重さや履き続けやすさには個人差がある

リカバリーサンダルとインソールは実際どうなの?

——最近はリカバリーシューズやリカバリーサンダルも増えています。実際に使っていますか?

私は、マラソンやトレイルランニングの後に、OOFOSのリカバリーサンダルを履いています。

使ったことはありませんが、OOFOSは気になっています。実際の履き心地はどうでしょうか?

レース直後は、それまで履いていた靴で普通に歩くだけでも、地面からの衝撃で足が痛みます。

リカバリーサンダルに履き替えると、土踏まずと地面の間にマシュマロが挟まったような感覚があり、衝撃がかなり軽くなります。アーチを支える構造のためか、最初は違和感があるかもしれませんが、慣れると心地よく感じます。

フルマラソン程度であれば筋肉が重い程度ですが、ウルトラマラソンやトレイルランニングの後は足の痛みも強くなります。レース後だけでなく、普段の練習後や、夏に近所へ出かけるときにも履いています。

普通のサンダルより厚底で、土踏まずの支えを感じるため、私の場合は長時間歩いても疲れにくいです。脚の疲労が強いときほど、履いた瞬間の柔らかさは目立たなくなります。

私はTENTIALを室内で履いています。

楽に感じることに加え、私は凹足で歩行時の衝撃が強く、足音も大きいのですが、それが緩和されます。

私の感覚だとOOFOSはHOKAなどの他の製品より、かなり柔らかい印象です。レース後でも長時間履くと、アーチの支えが弱く感じて、痛くなることがあります。

知り合いの医師が仕事で履いていたそうですが、長時間立ちっぱなしはキツいと言っていました。

鼻緒のあるビーチサンダル型だけでなく、クロッグ型もあるのですね。クロッグ型とは、つま先から足の甲までが覆われて、かかとが露出している、もしくはかかとが浅いサンダル状の靴です。職場で使うなら、形状や安定性も確認したいです。

——インソールには既製品とオーダーメイドがありますが、どのように考えればよいでしょうか?

私は日内でも足の形が変わるため、完全なオーダーメイドが常に最適なのか気になっています。症状がない人がパフォーマンス向上を目的に使うなら、セミオーダーまででもよいのではないかと考えています。

私は、患者さんに作っているものと同様に、自分のインソールも装具会社へオーダーしています。

リフト、中間マテリアル、ソフトマテリアルの位置などは一人ひとり異なるため、矯正力は既製品とは大きく異なると思います。インソールの採型は自分で行い、義肢装具士には、指定した内容に合わせた製作に専念してもらっています。

採型時に足をどのように動かし、ニュートラルポジションを取るかは非常に重要です。メディアルアーチの高さ、表面素材、補高、ソフトマテリアルの位置、踵の衝撃吸収材、ヒールポスト、アーチポストなどを個別にオーダーします。

症状がある方には、オーダーメイドの効果が期待できそうですね。Gon先生自身は、日常動作やランニングのために使って、変化を感じましたか?

私自身も当初は「たかがインソール」と思っていましたが、走るたびに出ていた腸脛靱帯炎が出なくなり、効果を実感しました。

パフォーマンス目的でも、痩せていて足裏の脂肪が薄い方が、クッション性の高いインソールを使うことは考えられます。

回内を抑える目的であれば、インソール自体に強度が必要で、Superfeet程度の硬さが必要だと考えています。

足裏の胼胝は、削るだけでは繰り返します。私は、胼胝がある時点で「足病」だと考えています。

目が悪ければ眼鏡をかけるのと同じように、足の状態が悪い場合にはインソールが有効なことがあります。

ただし、片足だけにインソールを作り、結果として脚長差を生じさせることもあるため、適切に評価できる医療機関を受診してほしいです。片方だけレンズが入っていない眼鏡は、通常は使いません。それと同じように、左右を含めた評価が必要です。

「リカバリーサンダルとインソールは実際どうなの?」のまとめ

  • リカバリーサンダルは柔らかさや用途で合う・合わないがある
  • インソールは足の形、症状、目的に応じて選ぶ

座談会まとめ

今回の座談会ではスニーカーの選び方や履き方のポイント、話題のリカバリーサンダルやインソールについて、靴好き医師が語り合いました。足に合っていること、用途にあわせて靴を替えること、補助用品は足や目的に合わせて選ばなければならないことなど、靴選びに役立つ情報が満載でしたね!

AIMEDではこのように読者さんから寄せられた疑問を医師3名で議論・検討いたします。質問は無料ですのでお気軽にご相談ください!

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